「ゴディバのパン屋」大ヒット、日本ならではの訳 「パンもチョコも売れない」8月開店でも大盛況

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今年は手軽に買える駅前店として「GODIVA GO!(ゴディバ・ゴー)」も2月にJR大塚駅から、クレープなどを販売する「GODIVA dessert Harajuku(ゴディバ デザート 原宿店)」を7月に開業する、数量限定で銀座千疋屋・全農とコラボした銀座ショコラ大福を発売するなど、続々と新事業を展開している。

展開が加速化したのは、2010年にゴディバ ジャパンの社長にジェローム・シュシャン氏が着任し、独自開発を進めようと日本専属シェフとしてシュヴォロー氏を雇ったからだ。

生き残りをかけた新しい挑戦の必要性

実は日本には、チョコレートを多彩に展開しやすい土壌がある。「ヨーロッパでは、チョコレートと言えばボンボンショコラやタブレットが一般的ですが、日本はクッキーと合わせるなどチョコレート菓子の種類が豊富です。チョコレート自体の消費量は欧米よりかなり低いですが、チョコレート味の展開のチャンスは大きいと思っています」と奥村氏。

21世紀に入り、ウェッジウッドが経営破綻する、百貨店の経営が厳しくなるといった、国内外で高級市場の縮小がニュースになることが増えた。グローバリゼーションで消費が活発な中流層が減っているうえ、中国もバブルが崩壊したと言われる。先進国のライフスタイルが変わる中、生き残りをかけた新しい挑戦の必要性が高まった点では、食の高級ブランドも他人事とは言えない。

そんな中、ゴディバグループで最も大きなマーケットを持つ日本の快進撃を象徴するような、ゴディパンの大成功のスタートダッシュが起こった。それは、財布の紐は締めたいがお値打ちで上質な食品・料理を手に入れたい、グルメ志向の日本人にハマったから、と言えるかもしれない。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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