JR九州「日田彦山線BRT」、開業初便に何人乗った? 豪雨で被災した鉄道を転換「ひこぼしライン」

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始発便は高校生の通学利用でにぎわったひこぼしラインだが、地域住民の足としてだけでなく、観光振興としての役割も期待される。27日の開業記念式典で、福岡県の服部誠太郎知事は「沿線は風光明媚でおいしい食べ物もたくさんある。多くの観光客を呼び込みたい」と述べた。

ひこぼしラインのバス専用道には「めがね橋」と呼ばれる高架の上を走る区間があり、車窓から約400枚の石積みの棚田が一望できる。「日本棚田百選」にも選ばれたこの棚田を抱える東峰村の眞田秀樹村長は、「BRTから下りた後に東峰村で何をして楽しむかという仕組みを整えたい」と意気込む。添田町の寺西明男町長は、「東峰村や日田市と連携すれば、1~2日かけていろいろな体験ができる面白いエリアになる」という。

日田彦山線BRT めがね橋
BRT専用道区間の「めがね橋」。筑前岩屋ー大行事間に架かる3つの橋のうちの1つ(記者撮影)

JR九州の古宮洋二社長は、「地元の人が利用できる武器は整った。あとはわれわれがいかに宣伝して乗っていただくか」と話す。2024年4~6月には福岡・大分両県を舞台としたJR全体の大型観光促進企画「デスティネーションキャンペーン」が開催される。当面はこの時期に向けてさまざまな施策が行われる。

被災路線BRT化のモデルケースに?

被災鉄路のBRT転換は、東日本大震災の津波で線路などが流失したJR大船渡線、気仙沼線に続いて全国3例目となる。そして、九州では2020年7月の豪雨で被災したJR肥薩線・八代(熊本県八代市)―吉松(鹿児島県湧水町)間の約87kmキロで不通が続く。

日田彦山線代行バス
ひこぼしライン開業前に走っていた日田彦山線の代行バス(記者撮影)

もしひこぼしラインが成功すれば、肥薩線などの被災路線をBRT転換する際のモデルケースとなるのか。この点について、超党派の福岡県議会議員や民間企業、団体で構成する「九州の自立を考える会」の藏内勇夫会長は、「ほかの地域でBRTが最適かどうかはわからないが、この地域ではBRTは必ず大きな力を発揮してくれる。それは1つの手本になる」と自信を見せる。

一方、古宮社長は「ローカル線はそれぞれに特徴があり、その特徴に合わせたいろいろな形がある。日田彦山線はその特性に合わせて良いBRTができた」と、肥薩線への明言は避けた。ひこぼしラインをいかに軌道に乗せるか。そして肥薩線をどのように復旧するのか。JR九州にとって気の抜けない日々が続く。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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