横浜駅焼失や列車転落「関東大震災」神奈川の惨状 甚大な鉄道被害、土石流で海中へ崩落した駅も
登山電車の被害もすさまじかった。「建造物は半数近くが半壊の状態、線路は大部分が崩壊、埋没した。隧道はいずれも入口から中に10~20mにわたって崩壊、橋梁もほとんどが破壊」(同前)と全線にわたり寸断された。ただし、路線中最長の早川橋梁(出山の鉄橋)は、ほぼ無傷だった。またケーブルカーの被害も少なかった。
当時、「再起不能」とまで言われた小田原電気鉄道の震災被害であったが、軌道線は翌1924年7月までに全線復旧、登山鉄道も同年12月までに復旧した。しかし、復旧の莫大な費用などが経営危機を招き、その後の電力会社による吸収合併、さらに鉄軌道部門の独立(箱根登山鉄道の設立)へとつながっていく。
災害と闘い続ける鉄道
さて、こうして振り返ると、我が国は国土の地理的・地形的・気象的な特性ゆえに、昔から災害大国であったことがあらためて思い起こされる。鉄道の歴史も、自然との闘いの連続だった。箱根登山鉄道だけを見ても、戦後間もない1948年のアイオン台風や、記憶に新しい2019年10月の令和元年東日本台風など、被災と復旧を繰り返してきた歴史がある。
これまで耐震などの土木技術・治水技術の向上が自然の災厄を最小限に抑え込んできたが、それを上回る勢いで台風被害等が激甚化しているのが現況である。国土強靱化が急がれるが、政府が中心となって推進する「国土強靱化基本計画」の内容を見ると、どこまで実効性があるのか疑問視せざるをえない部分も多い。
一方で2018年6~7月に発生した西日本豪雨後のJR各線の復旧や、令和元年東日本台風後の箱根登山鉄道の復旧のように、蓄積されたノウハウの共有や事業者間の調整により、復旧が前倒しで進んだ例もある(2020年7月23日付記事「箱根登山鉄道『3カ月前倒し復旧』なぜ実現した?」)。ハード面の対応のみならず、こうした過去の災害経験の蓄積により、その知見に基づいて災害時の初動、復旧等が適切に行われるよう「備え」ることが、まずは肝要である。
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