処理水問題で中国猛反発を「想定外」とする拙劣さ 岸田首相が「語る力」を示せないと政権危機加速

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岸田首相は24日の放出開始を受け、漁業者支援に総力を挙げる方針をアピール。中国の「日本の水産物・加工食品の全面禁輸」という厳しい措置には、すぐさま外交ルートを通じて即時撤廃を求めるとともに、風評被害対策への「万全の取り組み」(農水省)を決めたことなどは、「『放出強行』による政権運営へのダメージ回避を狙ったもの」(官邸筋)だったが、状況はさらに悪化しかねないのが実態だ。

日程上から「8月24日放出開始」決定

そもそも、政府が処理水を「夏ごろ」に放出する方針を決めたのは今年1月。それを受けて政府部内では、放出時期について「8月の上、中、下旬のいずれか」とする方針を固めた。ただ、放出に強く反対する中国との国際会議での厳しいやり取りを避けるため、まず「上旬」を断念。さらに18日の日米韓首脳会議と重なる「中旬」も見送られ、「下旬」だけが残った。

さらに8月25日は被災地の岩手県議選の告示日で、9月3日は県議選と同県知事選の投開票日となるため、「選挙への悪影響を最小限とするには24日しかないとの結論に達した」(官邸筋)というのが実状だ。

その際、政府関係者が腐心したのが漁業者らの「理解とりつけ」。政府は2015年、「関係者の理解なしに放出しない」と福島県漁連に約束していたためで、岸田首相らは、今年7月に西村康稔経済産業相が福島県漁連と面会した際、同漁連側が「40~50年後に廃炉がなされた時、福島の漁業が存在していて、初めて理解が成り立つ」との主張に着目。「『廃炉』を処理水放出の理由とすれば、『一定の理解』が得られる」(官邸筋)と判断し、「廃炉まで政府と東電が寄り添い続ける姿勢を示すことにした」(同)という。

これを受け、岸田首相は8月20日の福島第一原発視察に合わせ、東電幹部と面会して「廃炉の期間中、長期にわたって万全の対応を持続し、内外の信頼を裏切らない決意と覚悟を」と檄を飛ばした。

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