旅行予約サイト最大手でまさかの「入金遅延」騒動 ブッキングドットコムの周知不足にホテル困惑

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入金対応にも問題があった。支払いが遅れている施設に対して、ブッキングドットコムは個別の支払い対応を行っているが、日本の宿泊施設は漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字など表記が複雑だ。アムステルダム本部の従業員や現地の銀行員は日本語に不慣れであるため、表記・確認ミスなどのヒューマンエラーが発生し、その結果、入金が遅れたという。

8月30日の時点では、ブッキングドットコムは割合などは明かせないとしつつも、大半の宿泊施設で支払いが済んでいるという。

今回のような事案は初めてであるとはいえ、周知不足だった点は否めない。ブッキングドットコムが事前に行った対応は、サイト上での告知のみ。サイトの問い合わせフォームや専用の電話番号を設置していたが、公式のリリースなどは出していない。

コミュニケーション不足を反省

「(宿泊施設との)コミュニケーションを丁寧にすればよかった」と大畑氏も反省の弁を口にする。

とくに個人経営の小規模施設となれば財務基盤は大手と比べると脆弱。「支払いが遅れたことで取引先が不渡りを起こし、取引先と一緒に銀行へ事情を説明しに回った」。大手EC(ネット通販)サイトの元幹部はこう語る。業界は違えど、今回の件は同様の問題を起こしかねない事案だった。

インバウンドが増える今後、ブッキングドットコムをはじめとした海外OTAの存在感がさらに高まっていくことは間違いないだろう。それだけに今回の教訓を生かした再発防止策が求められる。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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