100回より10回の「スクワット」が効果的なワケ 「筋トレはキツいほどよく効く」は大きな誤解

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A.立った状態から、しゃがみ込んで反動をつけてジャンプする

B.しゃがんだ状態からジャンプする

より高く跳べるのはどちらだと思いますか?

子どものころに、より高くジャンプをしようとして、しゃがみ込んで反動をつけた経験があるのではないでしょうか? 

つまり、より高く跳ぶには「A.立った状態から、しゃがみ込んで反動をつけてジャンプする」です。

実は、これは一般的なスクワットの動きと似ています。

立った状態から腰を落として、そして立ち上がります。反動をつけている感じはないかもしれませんが、筋肉には反動をつけたときと同じ「伸張反射」という現象が起きています。

伸張反射は、「火事場の馬鹿力」を発揮することができます。しかしそのぶん、筋肉や腱、骨には瞬間的に大きな負担がかかることになります。

100回より10回のスクワットが効果的

一方、ドクターズスクワットで採用している「逆スクワット」の動きは「B.しゃがんだ状態からジャンプする」と同じで、反動はつけません。

火事場の馬鹿力は出ませんが、体に優しいうえ、楽に感じます。毎日続けるなら、火事場の馬鹿力で体に負担をかけるより、楽にできるほうがよいと思いませんか?

もう一つ、質問です。効果的なのはどっちだと思いますか?

A.スクワットを10回する

B.スクワットを100回する

私がよく、患者さんにする質問です。

健康効果を得るために、ある程度の回数を行うことは意味があります。ですが、行ううちに、いつしか20回、30回、とやった回数が目標にすり替わってしまうことがよく起こります。

ということは、先ほどの質問の答えはおわかりですよね?

答えは、Aの10回。

100回スクワットをしようとしたら、キツくて途中から姿勢がくずれて、正しいフォームを保てないはず。

実際、筋力が弱い人に20回やってもらうと、途中から猫背になりがちです。そうすると、効果が出ないどころか、体を痛めることにもなりかねません。

そこで、決めたのは、

・ドクターズスクワットは回数にこだわらない

・30秒でいい

ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」
『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ということです。

30秒では物足りなそうですか? 試しに、1分間やってみてください。かなりキツいと思います。では、10秒にしたらどうでしょうか? これでは、やった感じがありません。

30秒というのは絶秒な時間設定なのです。時間がない、めんどうくさいというときでも、「なんとか30秒くらい」と、思いやすいのもポイントです。

そして、「とにかく30秒、最初はゆっくり、2~3回でもいいから丁寧に体を動かすことを意識してやってみてください」と言うと、皆さん正しいやり方のまま行えるのです。

筋トレは回数をこなすことが目標ではなく、正しいやり方で継続することが大切です。そのために、ぜひドクターズスクワットをご活用ください。

吉原 潔 整形外科専門医・フィットネストレーナー

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よしはら きよし / Kiyoshi Yoshihara

医学博士。アレックス脊椎クリニック院長。日本医科大学卒業後、同大学整形外科入局。帝京大学医学部附属溝口病院整形外科講師、三軒茶屋第一病院整形外科部長を経て、2017年より現職。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。トレーナーとしての信条は「ケガをしないトレーニング方法を指導すること」。50歳を過ぎてから筋トレでメタボ体形を脱し、ボディコンテストに出場、受賞歴多数。

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