100回より10回の「スクワット」が効果的なワケ 「筋トレはキツいほどよく効く」は大きな誤解

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ロコモになると、立ったり歩いたりするのが大変なので、あまり動かなくなります。すると徐々に体力が落ちます。体力が落ちると、実はさまざまな病気にかかりやすくなったり、うつなど、心の問題も抱えやすくなったりしてしまうのです。

さらに、ロコモは認知症の発症にも深く関わっています。

運動不足の弊害はまだまだあります。肥満や脂質異常症、高血糖(糖尿病)、高血圧などの生活習慣病を発症させ、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる疾患にかかるリスクが増大します。

つまり、運動不足は健康寿命を短くする最大の要因なのです。

これから運動不足を解消するための筋トレをご紹介しますが、その前にぜひ知っておいていただきたいのは、筋肉は体を支え、体を動かし、ほかの内臓の働きを助けるとても重要な役割を持つ「臓器」だということです。

実は、心臓や胃腸といった臓器も、心筋や平滑筋という筋肉でできています。ですから、筋肉=臓器なのです。

もし、心臓や胃腸など臓器の調子が悪くなったら、どうしますか? そのまま放置しますか? おそらく、ほとんどの方が治そうとしますよね。

心臓や胃腸などの臓器と同じように、筋肉という臓器にも注意を向けてみると、運動をしてみようという気持ちが高まると思います。

キツい筋トレはデメリットが多い

それでは、筋肉を鍛えるのに向いているのは、どんな筋トレでしょうか。

人間の筋肉の約7割は下半身に集まっています。そのため、全身の筋肉量を増やすことを目的に運動を行う場合には、上半身を動かす運動より下半身を動かす運動のほうが効率的です。

実は、下半身を中心に動かすことができる運動はそれほど多くありません。その一つが、「スクワット」です。

スクワットで鍛えられる筋肉は、

・太ももの前に位置する大腿四頭筋
・太ももの裏側に位置するハムストリングス
・お尻に位置する臀筋
・背中の脊柱起立筋

です。スクワットは太ももやお尻など、下半身の筋肉だけではなく、脊柱起立筋という体幹(胴体)の筋肉まで鍛えられる、万能といっても過言ではない筋トレです。 

また、大きな筋肉にはたくさんの小さな筋肉が付着していて、連動して動くことから、ここで解説している筋肉のほかにも数えきれないほど多くの筋肉を同時に鍛えることができます。

次ページ効果的なトレーニング方法「逆スクワット」
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