「コロナ後も咳に悩む人」が見逃す"鼻の異変″ 「後遺症の原因」は自覚症状のないアノ疾患?

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コロナを含めた「風邪症候群」の診療経験が豊富な医師の場合、上記のような症状の推移を心得ていて、これから出現する症状を予測して、楽に過ごせるよう薬を按配してくれる。

かく言う私も、20年近い風邪やインフルエンザと、3年余りにわたる新型コロナの診療経験から、症状の推移はおおむね想定ができるようになった。

まず1つ経験的に「あるある」だと確信しているのは、「鼻や気道に関わる基礎疾患があるとコロナ後の咳が長引きやすい」ことだ。慢性アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症、気管支喘息、咳喘息、睡眠時無呼吸症候群といった基礎疾患に遭遇する率が高い。

コロナ後は「カビ副鼻腔炎」も

このうち特に副鼻腔炎は、自分では鼻詰まり等の症状を感じないケースも少なくない。

副鼻腔は、鼻腔の周りに存在する洞窟のような空洞だ。普段は、吸い込んだ空気が副鼻腔を循環するうちに温度や湿度が調整され、肺や気管支の粘膜に対する刺激を防いでくれている。だが、生まれつき鼻腔が狭くて詰まりやすい方は、そこが炎症を起こしやすい。コロナ後に副鼻腔炎になったり、もとからある副鼻腔炎が悪化するケースがよく見られる。

30年近く前の研究だが、風邪をひいた人にCT検査を実施したところ、ウイルス性副鼻腔炎が高率に生じていることが報告されている。風邪で黄色い鼻水が出たり、鼻が詰まるのは、副鼻腔炎を起こしているしるしだ。その鼻水がノドに流れ込み続け、咳が止まらなくなる。

だから普段、風邪の後に痰がらみの咳が続きやすい患者さんが新型コロナにかかったら、同じように症状が推移すると考え、副鼻腔炎にフォーカスした治療をおこなうべきだ。

また、風邪に伴う副鼻腔炎はウイルス性だが、その後に細菌による副鼻腔炎に移行することがある。一方、コロナ後に注意が必要なのは、アスペルギルスやムコールなどの真菌=カビによる副鼻腔炎が多いことだ。真菌による副鼻腔炎では、カビが副鼻腔のみならず周りの骨に食い込み、視神経や脳に到達して、より深刻な病態を起こす。

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