葬儀が終わると、中国の風水により、生年月日が父と相性の良い子どもだけが埋葬に立ち会うことになりました。それが私と弟の二人でした。
棺が土の中に降ろされた瞬間、私は悲しみが大きすぎて、弟の手を握りしめ、天に届くほどの大声で泣きました。
父にはもう会えないんだ、と思うと心に大きな穴が空いたようでした。しばらくは途方に暮れて、まるで幽霊のように過ごしていました。
父からもらった“言葉”
しかし、残された母のためにも、そしてきょうだいのためにも立ち直らないといけないと気づいて、心の穴を埋めるために、父からもらった言葉を必死で思い出すようになりました。それがこの言葉です。この言葉はその後の私の人生の支えとなりました。
私はもともと何事に対しても臆病な子どもでした。いつも自信がなく、極端な照れ屋でもありました。何をやるにも戸惑い、迷ってしまう癖がありました。
その性格を見抜いた父は、「やってみなさい」と言うのではなく、「やらないのは簡単、やるのは大変だよ。どうする?」と、ことあるごとに聞いてくれました。
そして、「迷ったら、いちばん難しい道を選びなさい」と言うのです。
「難しい道を選んだら失敗することもあるかもしれない。でも学ぶことは多いよ。もし成功したら喜びは大きいよ。ただしやらなければ喜びも少ないし、後悔するかもしれない」と言うのです。
最初はいちばん難しい道は苦労も多いはずだし、やりたくない、と思うこともありました。でも父は「やってみればきっとわかるよ」と言うのです。
それからというもの、何かを選択する時には必ずこの言葉を思い出して決定をしています。大きい選択でも、日常の些細なことでも、この言葉を思い出すと、選択が明らかになるのです。
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