スタンフォード合格後に妊娠発覚した彼女の迷い アグネス・チャンさんがその時思い出した父の言葉

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6人きょうだいの4番目として育ったアグネスさん。前列左端(写真:『心に響いた人生50の言葉』)

中学の時にスカウトされたのですが、最初は父は大反対。その頃、すでに長姉はデビューをしていたのですが、姉はデビュー後あまり勉強をしなくなってしまったんです。父はそれが許せなかったようです。ですから、私はきちんと勉強すること、テストの点数は平均で80点以上取ることを条件に許してもらいました。

香港でデビューしたのが15歳。想像していた以上に売れてしまい、まだ中学生なのに「アグネス・チャン・ショー」というテレビの冠番組を持つようになります。その番組に作曲家の故・平尾昌晃先生がゲスト出演してくださったのを機に日本でのデビューも決まりました。

家族の生活は一変した

日本でのデビュー曲「ひなげしの花」も思いがけず大ヒットしました。ただ、それからはとにかく忙しくて。日本で半年仕事をしたら2カ月香港に帰って香港で仕事をする、という生活をしていました。

その頃、周りの人たちは私の価値を売れるか売れないかで見ていたように思います。ただ父だけは「何もしなくてもいい、アグネスはアグネスでいればいい」って言ってくれました。

父は寝る時間もないほど働いて、大人の都合に振り回されている私を見て心を痛めていたようでした。確かにお金もたくさん入ってきて、周りからは成功した家族のように見られていましたが、家族の生活は変わりました。

姉と母は私の仕事の内容でよく喧嘩をしていました。それが本当につらくて、よく私は泣いていました。父はそんな私を見て、「もうやめたほうがいい」とカナダに留学することを提案してくれたのです。父は口数が多いほうではなかったのですが、私の人生の大きな決断を後押ししてくれたのです。

そんな父は、私が21歳の時に病気で亡くなりました。ちょうど私がカナダに留学している最中でした。

厳しい時代を必死で生き抜き、私を無条件で愛してくれた父は私の花嫁姿を見ることもできずにこの世から去ってしまったのです。

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