トヨタ新型アル/ヴェル乗って感じた明らかな差 スタイル以上に走りも違う!一押しモデルは?

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アルファードでは2.5LのNA(182PS/235N・mでトランスミッションはCVT)、ヴェルファイアでは2.4Lのターボ(279PS/430N・mで同8速AT)がそれぞれ専用エンジンとして用意される。ヴェルファイアの2.4Lターボは、従来型のV型6気筒3.5L(301PS/361N・mで8速AT)に置き換わるハイパワーユニットである。

アルファードの2.5Lは、従来モデルからエンジンスペックとCVTレシオに至るまで同一ながら、各所に大きな変更が加えられ、大人3名+撮影機材であれば十分な走行性能をみせた。「シャーシはエンジンよりも速く」ではないが、腰下の安定感はシリーズ随一。加速時にエンジン透過音のうち高音域が車内に入り込む傾向にあるが、会話明瞭度の妨げになる低音域はグッと抑えられている。

ヴェルファイアの2.4Lターボは最大トルクの発生回転域を1700~3600回転と幅広くし、こうしたエンジン特性に合わせて8速ATの最終減速比を10%ほど加速方向へ振りわけた。279PS/430N・mとスペックこそ刺激的だが実際の乗り味は、パワーで引っ張り上げるのではなく、豊かなトルクでゆったり走らせるタイプだ。ターボチャージャーの消音効果により、エンジン透過音は2.5Lよりも小さく、加速時でもキャビンは静かに保たれる。

世界を見据えた上級ミニバンの進化系

世界市場でミニバンへの注目度が高まっている。従来のファミリー層向けだけでなく、新たに法人需要や富裕層向けの需要を掘り起こそうという動きに連動したものだ。20年以上の歴史を積み重ねたアルファード/ヴェルファイアが新型となって繰り広げたさらなる上級シフトも、そうした流れの一環だと感ずる。実際、ファミリー需要に加え、法人ユーザーからの問い合わせも増えているようで、すでに納車待ちは年単位ともいわれる。

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この先はアルファード/ヴェルファイアをベースにしたレクサスのミニバン、新型「LM」が日本市場でもデビューする。新型のLMは2023年秋頃の発売が予定され、まずは4人乗り仕様で2.4Lターボハイブリッドシステム(eAxle)から導入するという。ドイツ勢でもメルセデス・ベンツのミニバンである「Vクラス」がフェイスリフトを行い、同時にフラッグシップセダンの「Sクラス」に準じた上級装備を携えてきた。

かつてのクロスカントリーモデルが、乗用車と融合した上級SUVになり高い付加価値や新しい需要を生み出したように、この先は「上級ミニバン」が大いに飛躍するのではないか。

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西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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