次世代型路面電車「宇都宮LRT」鉄道との違いは? 近代的車両で新規開業、だが法律は大正生まれ

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1960年代1970年代の高度経済成長とともに始まったモータリゼーションで、鉄軌道を含めた公共交通機関の旅客が個人の自家用車利用に移転し、多くの路面電車が廃止された。道路交通の補助機関というよりも道路交通を阻害するものとして冷遇された面もあった。

2005年には名鉄岐阜市内線が廃止になるなどしていたものの、2007年に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(地域公共交通活性化再生法)による「軌道運送高度化事業」が定められたことで、路面電車の活用に光が差した。

「軌道運送高度化事業」とは、「軌道であって、より優れた加速及び減速の性能を有する車両を用いること、その他の国土交通省令で定める措置を講ずることにより、定時性の確保、速達性の向上、快適性の確保その他の国土交通省令で定める運送サービスの質の向上を図り、もって地域公共交通の活性化に資するもの」をいう(第2条第6号)。

上下分離方式による運営も特例により認められることから、地方公共団体も関与する地域公共交通計画のなかで、軌道の建設・延伸、新型車両の導入、振動を抑える軌道の導入、停留場のバリアフリーその他利用しやすい設備の設置などが可能となった。

「前近代的な乗り物」の転機

前近代的な乗り物から新しくて利用しやすい交通手段に脱皮をさせることで道路交通の補完的な立場である軌道を公共交通ネットワークの主役にするものである。富山地方鉄道富山軌道線の環状線も「軌道運送高度化事業」の具体的な実施例である。

軌道を規律する軌道法は大正年間に定められた古いものである。施設や車両が新しくなっても道路交通の補助機関として考えられていた時代の法体系が今も息づいている。

LRTの時代、道路交通の主役にもなり得る軌道に対しそんな法令のままでいいのか、と思うときもあるが、軌道法はあくまでも軌道の性格や建設、運転などの基準を定めるものであって、軌道を地域公共交通のなかでどのように活用するかということは目的外である。

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