「エクストレイル」高評価でも実績が振るわない訳 納車遅延の解消でRAV4やCX-60を超えられるか

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その要因は、主に生産の遅れ。半導体をはじめ、コロナ禍による部品調達の遅延などが、日産にも影を落としたのだ。そして、その残念な状況は、まだまだ続いている。2023年上半期(1~6月)の新車登録台数は、1万4330台。販売ランキングは25位だ。

この調子では、年間3万台にも達しない。先代モデルがデビュー以後5年間、毎年5万台レベルで登録・納車されていたことを考えると、とても満足できない数字だろう。

部品不足による生産遅延は他社も同じでは……と、思うかもしれない。しかし、ライバルを見わたしても、年間3万台レベルは厳しい。

初代や2代目を思わせるスクエアなデザインなど評価は高いが……(写真:日産自動車)
初代や2代目を思わせるスクエアなデザインなど評価は高いが…(写真:日産自動車)

トヨタの同クラスとなるRAV4は、2023年上半期だけで2万6297台、販売ランキング17位だ。現行RAV4のデビューは2019年であり、今から4年も前のモデルだ。それに大きく水をあけられてはいけない。

さらにいえば、車格が上となるマツダ「CX-60」の1万7499台(販売ランキング22位)やレクサス「NX350h」の1万6922台(同23位)にも負けている。これもいただけない。

「CX-5」の1万3495台(同29位)には勝るが、CX-5は2017年のデビューだ。上回って当然である。発売1年時点での新型エクストレイルの販売実績は、まだまだと言えるだろう。

実績と実力が“見合っていない”

しかし、良い話もある。日産のホームページにある「各車両の工場出荷時期の目処について」を見ると、新型エクストレイルの工場出荷は「3~6カ月」。特別に早くはないが、近年とすれば、“普通のレベル”に回復したと言えるのではないだろうか。

新型エクストレイルに乗ってみれば、決してクルマとしての実力は劣っていない。内装などの質感も、上がっている。それに、先代のハイブリッドでは設定されなかった、7人乗りもある。

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全車ハイブリッドになったこともあり、スタート価格は100万円近く上がっているが、ハイブリッド同士で比べれば、内容に準じた価格アップだといえる。

現在の状況から、販売実績とクルマの実力が、“見合っていない”ことは明らか。不振の原因を克服し、今後の日産の挽回を期待したい。

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鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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