デイサービスなのに「介護しない」利用者の本音 やりたいことに耳を傾け実現のサポートをする

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人は毎日に生きがいや楽しみがあってこそ、活力が湧いてくるもの。実際、寝たきりや車椅子生活で自力での歩行が困難な要介護4クラスの人が、「まる」に通ううちに歩けるようになることは珍しくないという。

同施設を運営する代表取締役の池田右文さん。「子どもからお年寄りまでのワンダーランド」を目指し、誰もが安心して楽しく暮らせる地域社会を目指す(筆者撮影)

「最初に『まる』に来た当時は、元気がなくて、車椅子生活を送っている方も少なくありません。でも、ここで皆と一緒に出かけたり、おいしいものを食べに行ったりするうちに、『そういえば、昔はこれが好きだったな』と思い出していくんですよね。

すると、自然と動く意欲が出てきて、車椅子から立ち上がるようになる。それがリハビリになるので、皆さん、足腰が強くなってみるみる元気になっていくんです」

利用者が元気になるもう一つの理由

この施設に通う利用者たちが元気になるのにはもう一つ理由がある。昼食の出し方だ。

介護度が高い人であっても、いきなり刻み食やミキサー食といった「介護食」にせず、まず「常食(健康な人が日常生活で食べているような食事)」で出すことを基本としている。

「食事って、味だけじゃなくて見た目や食感がすごく大事なんです。おかずが細かく刻まれていたり、ドロドロしたりしていたら、やっぱり食欲がそそられないですもんね。これまで別の施設で介護食を食べていて、あまり食が進まなかったという利用者さんが、うちで常食を出したら毎回完食するようになった、というケースは多々あります」

もちろん、飲み込みがしづらい人や本人の希望で「やわらかくしてほしい」などの要望があれば、食べやすいように調整する。

だが、最初から「〇〇さんは介護度が高いから、食べられないだろう」と勝手に判断せずに、まずは普通の食事をそのまま提供するのだ。

同社が手がけるもう一つのデイサービス「二重まる」での昼食。高齢の利用者さんたちもおいしそうに頬張っていた(筆者撮影)

「見た目にもおいしい食事は食欲を湧かせ、唾液の分泌も促します。そして、ごはんをしっかり完食できるようになると、体力がついて元気が出てきます。これは当たり前のことと言えば、当たり前のことなんですが、介護の現場では安全を重視しすぎて、なかなかできないのが現状です。

でも、僕らはたとえ介護が必要になっても、認知症になっても、いつも通り、当たり前の暮らしを続けられるようにサポートしたいのです」

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