「Uber EatsのCM」大都市圏に集中する深刻事情 「テレビ離れ」とエリアを吟味する新しい広告主

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事業コンセプトを一から見直すべき時だ。そして新しい方向へ会社を変えるための投資が必要になる。今の赤字を恐れるより、未来の収益のために投資する時なのだ。実はローカル局の自己資本比率は平均80%と異様に高い。投資に回さなくてどうすると言えるレベルだ。

ところがローカル局のほとんどは、そうした事業転換を図れるような仕組みになっていない。地元財界や地方紙とキー局や大手新聞社が株を持ち合う旧態依然とした資本構成であり、その株主の関係論の中で社長が決まる。

外からくるにせよプロパーにせよ、どの道2〜3年ごとに社長が変わるのが見えている状況では、自分の代で赤字を避けることしか考えなくなるだろう。5年後10年後を見据えた経営マインドになるはずがないし、方向転換するための投資を決断することもない。せいぜい「その投資、絶対儲かるんだな」という話に乗るのが関の山だ。

さんいん中央テレビの成功例

記事(「かまいたち」で浮上、島根ローカル局の独自戦略)で書いた、さんいん中央テレビの社長、第25代田部長右衛門氏。島根を支えてきた一族の当主であり、自分の父親が設立したテレビ局の社長になった。

この局がどうなるか、自分が責任を取るしかない。だから反対を押し切って改革を断行し、給料は下げずに現場のやりたいことはどんどん承認する。メディアではなく、「地域創造カンパニー」のコンセプトを打ち出し、自らも新規事業をIT事業から農業まで次々に起こして軌道に乗せた。放送収入は35億円だがグループ全体では200億円の売り上げ規模にし、まだまだ成長を目指している。そしてテレビ局は地域創造の発信基地として今後も重要なのだ。

これはさんいん中央テレビが見出した方向性だが、ローカル局が取るべき道はひとつではない。特にネットには何らかの投資を検討すべきで、うまくすれば放送業界全体の再成長もありうる。現に、アメリカがそうなっているのだ。

アメリカのマーケティングメディア、eMarketerは定期的にテレビ広告市場の今後の予測値を発表している。今年4月に出たグラフでは、2022年の旧来型のTV広告市場は666.4億ドル、CTV広告市場は206.9億ドル。それが今後、旧来TV広告市場は2027年に568.3億ドルに下がるが、CTV広告市場は409.0億ドルへと成長すると予測している。

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