東急東横線の指定席「Qシート」は誰が乗るのか 導入で「沿線価値向上」、ターゲットは横浜市民?
導入を発表したのは2022年7月末。実際の運行開始より1年も早かったのは、車両製造のタイミングが関係している。Qシートの車両は、従来8両で運転していた編成に2両を新造して組み込んでおり、一部は同年中に一般車両として運行を開始した。「最初の車両が走りだす前にお知らせしたいと考え、かなり早いタイミングで発表した」と橋詰氏は話す。この時点では、具体的なQシートサービスの導入時期は示さなかった。
2023年3月、東横線は東急新横浜線の開業と相鉄線直通開始に伴う大規模なダイヤ改正を実施した。新サービス導入には絶好のタイミングに思えるが、この際に導入しなかったのは「新横浜線開業で東横線を新たに利用するお客様も増える中、座席指定車両を同時に導入すると混乱を招く部分もあるのではないかと考えた」(橋詰氏)ためだ。8月のサービス開始は、新横浜線開業から一段落した時期を考慮したという。
乗車率はどの程度になる?
乗車率については、「恐らく70%程度になるのではないかと見込んでいる」と橋詰氏は話す。運行時間帯がラッシュのピークを避けた19時半以降であることから、大井町線Qシートの約8割よりやや低く見積もるが、「サービス開始前から指定券購入方法などの問い合わせをいただいている」といい、利用者の注目度は高そうだ。
車両導入などの事業費は非公表だ。指定席料金が1人500円、列車1本当たり90席だと満席でも収入は大きくないが、橋詰氏は「稼ぐためというよりは、有料座席サービスという『帰り』の選択肢を提供することで、東横線の沿線価値を向上させることに増収以上の価値があると考えている。費用は十分回収できる事業設計」と話す。
直通する他線への乗り入れなどは「検討はしていないが、必要があれば他社とも意見交換していきたい」と橋詰氏は言う。渋谷方面・横浜方面の両方向ともに終日利用者が多い東急東横線。同線に初登場の「座れる通勤列車」は、利用者にどのように受け入れられるか。
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