「アスリート1000人のウンチ」解析で際立った特徴 サッカー元日本代表・鈴木啓太氏が腸内研究の道へ

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徹底的にこだわる。その姿を、“うん”は見放さなかった。しばらくして、大正製薬、三菱UFJキャピタルなどから約3億円の資金調達が決まると、満を持して、腸内フローラをケアするサプリメント「aub BASE」を発売した。

腸について尋ねると、鈴木さんは立て板に水のごとく説明する。体躯こそ現役時代と変わらずスマートなままだが、熱を帯びて話すその姿は、もはや“腸内博士”と呼びたくなるほど詳しい。

「ヒトの腸内には、約1~2kgの重さの腸内細菌がすんでいます。種類にして500~1000種類とも言われる腸内細菌は、ヒトが食べた食物を分解し吸収します」

これらの腸内細菌が集まり生態系となって腸内に存在することを腸内フローラと呼ぶが、こうした菌たちは「免疫機能にも大きく関係している」と鈴木さんは言う。

引退後もアスリート体型を保ったまま、”博士”さながら腸内環境について熱く語る鈴木さん(撮影:今井康一)

多様性が、豊かな腸内フローラを作り出す

「免疫機能の7~8割が腸にあると言われています。腸は、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを作り出したり、ビタミンも作ったりします。皆さんは、なるべく体に良いものを摂り入れるようにしていると思うのですが、それを消化するは大腸や小腸ですよね?」

どれだけ品質の良い作物の種を蒔いたところで、土壌が肥沃でなければ思い描いたようには育たない。同様に、土台である腸をケアしなければ、良いものを摂取したとしても期待する効果は得られないというわけだ。

「そのためには、発酵食や水溶性食物繊維、オリゴ糖を摂ることが大事です。そのうえで、いろいろな食物繊維を摂ることが望ましい。食物繊維は食材ごとに違います。菌たちは、それぞれ好きな食べ物が違うため、いろいろな食物繊維を摂取したほうがいい。菌って、多様性が大事なんです。野菜類、海藻類、豆類、果物類、まんべんなく摂取することが、豊かな腸内フローラを作り出す」

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