酷暑でも働き方・部活の変革を拒む日本の不思議 惨事が起きる前に試される日本人の自己変革力
この新方針によって、いま国民の間では「マスクを外そう」と言ってはいけないという、腫れ物に触るような雰囲気になっています。マスコミも、昨年夏は「屋外ではマスクを外しましょう」と注意喚起していたのに、今年の夏は一転して無視を決め込んでいます。
コロナも暑さも、刻々と状況が変わっています。コロナに目を奪われて炎天下でのマスク着用を放置しているのは、厚生労働省の怠慢と言えるでしょう。昨年のように夏場の屋外ではマスクを外すよう推奨するべきです。
夏場に屋外スポーツすることの是非
第3に考えたいのが、屋外のスポーツ、とくに部活動や体育の授業の扱いです。スポーツをしているときは筋肉が熱を発するため、熱中症のリスクが普段より高まります。ところが、現在、高校野球など多くのスポーツイベントが普段通り行われています。中学・高校の部活動も、暑さ対策のために中止したという話をあまり耳にしません。
先日、宮城県の小学校で、熱中症対応訓練に参加していた5年の男子児童8人が、実際に熱中症とみられる症状となり、うち1人が病院に搬送されました。高校野球の各地の予選では、試合中に選手や審判が足をつったり、応援団が熱中症で倒れたりして、いつ大惨事が起こってもおかしくない状態になっています。
プロスポーツならいざ知らず、教育の一環である部活動を、まだ体ができ上がっていない中学生・高校生が、健康を犠牲にしてまでやるものでしょうか。夏場は屋内施設を利用する、もしくは夜間に実施するといった特別な対策を施すべきしょう。
ここで、議論になりそうなのが、高校野球。高校野球は日本の国民的行事なので、暑さ対策で「夏の甲子園」のあり方を変えると、「高校球児の夢を奪うな」「伝統を壊すな」といった猛反発が噴出すること必至です。
ただ、時代の移り変わりとともに、現代人の目には、今の高校野球には暑さ以外にも多くの問題点があるように映っていることでしょう。これをきっかけに関係者がしっかりと議論し、球児たちがより安全で快適にプレーできるよう、開催方法・時期・日程・場所などの改革に知恵を絞りたいものです。
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