利益率が低下してもテスラが脅威である理由 既存大手は太刀打ちできず、中国BYDが猛追

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一般にEV(電気自動車)は車載電池のコストが重いため、収益を確保することが難しいとされている。実際、フォードは2023年のEV事業の赤字が30億ドルに達する見通しと公言している。既存の大手自動車メーカーでEV事業が黒字化しているところはおそらくないはずだ。だが、EV専業であるテスラの営業利益率は低下してもなお高い。

テスラは他の自動車メーカーと違ってオンラインでの直接販売を基本とするためディーラーへの利ザヤが発生しない。また、テレビCMのような広告宣伝を行っておらず広告宣伝費もかからない。加えて、年間160万台超の販売台数をわずか4車種でたたき出す。フルセルフドライブ(FSD)という自動運転のソフトウェアを約1万ドルで販売していることなどがEVでも高い利益率を維持できる要因となっている。

テスラの超高速充電器が「業界標準」に

さらにテスラは次世代車両向けの新しいプラットホームや新たな車載リチウムイオン電池「4680」などの開発を進めており、経営効率の一段の引き上げに余念がない。ザカリー・カークホーンCFOは、「材料費、商品の製造コスト、物流など、ほぼすべてのカテゴリーで台当たりのコスト改善をはかり、オースティンの工場とベルリンの工場での生産率を急速に向上する」と自信を示す。

2023年上半期(1~6月)のEV販売台数は88.9万台、年間200万台も見えてきたテスラが値下げで攻勢をかければ、ライバルは追随を余儀なくされている。より苦しいのがどちらかは言うまでもない。

しかも、北米ではテスラの超高速充電器「スーパーチャージャー」が事実上の業界標準になりつつある。これまでにフォード、GM、アメリカのEVベンチャーのリヴィアン オートモーティブなどが、欧州メーカーではボルボ、メルセデス・ベンツ、日本メーカーでは日産自動車が北米でのテスラの充電規格NACSの採用を決めている。

ただし、圧倒的な強さを見せるテスラだが、このまま独走できるかはわからない。猛追しているメーカーがあるからだ。

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