「人のつながり」が日本の課題を解決する 藤沢烈と駒崎弘樹、「復興」を語る<3>

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藤沢:仕事だけ与えて、ぽーんと「とりあえず行ってください」というのではなく、「人のつながり」をご紹介する、ということを意識的にやっています。

企業は社員を家族に返すべし!

会場:いまは社会全体が生きづらくなっています。シングルマザーの問題もあれば、虐待や貧困などの問題もあります。企業がもっとそういうところに目を向けてほしいのですが、どうすればいいでしょうか?

駒崎弘樹(こまざき ひろき)●1979年生まれ、慶應義塾大学卒業。2004年にNPO法人フローレンスを設立し、日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスを首都圏で開始。 2010年からは空き住戸を使った「おうち保育園」を展開。現在、厚生労働省「イクメン・プロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員等を務める。著書は『「社会を変える」を仕事にする ~社会起業家という生き方』(英治出版/ちくま文庫)ほか多数。

駒崎:僕がやっているフローレンスもまさに、ひとり親の支援をしていますが、企業がどう絡むかというのは、けっこう難しい課題だなと思っています。

たとえば「貧困」の話だと、「それはその人が努力しないからでしょ」みたいな、ある種の「自己責任論」が強いんですよね。でも実際にはそうじゃなくて、構造がそれを為さしめている。まずはそこの理解を広げていかないと、その課題を本当に解決しようという方向に行きづらいんですね。

企業のなかで可能性があるのは、やっぱり雇用です。貧困のベースには「不安定な雇用」というものが大きくあるので、まずはひとり親を雇用することでサポートしていく。

且つ、非正規雇用みたいな形ではなく、しっかりとした正社員のレールにのせるとか、わが社のようにひとり親に手当てを支給するとか、そういった工夫で就業環境をよくしていくこともできると思います。

ひとり親が働きやすい会社というのは、子育てする人みんなが働きやすい会社です。女性だけなく男性も働きやすく、介護している人も働きやすく、LGBTも働きやすく……。そういう感じで、ダイバーシティ対応が可能な職場環境をつくっていくと、誰しもが働きやすい社会になっていくんじゃないかな、ということも思い描いています。

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