月9「真夏のシンデレラ」はただイタいドラマなのか 「古い」「ダサい」酷評だらけのスタートだが…

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“月9”というドラマ枠で見ても、ラブストーリーは2018年冬の「海月姫」以来、約5年ぶり。それまでは年4作中1~3作のペースでラブストーリーが放送されていましたが、この約5年間はほぼ刑事・医療・法律の手堅い3ジャンルが占めていました。これは視聴率の低下を止めるための戦略であり、約5年かけて一定の成果を挙げられたからこそ「ラブストーリー“も”放送する」という本来の形に戻ってきたのでしょう。

もし「真夏のシンデレラ」が目も当てられないほどの大失敗に終わってしまったら、月9ドラマは再び刑事・医療・法律の3ジャンルに戻ってしまい、多様性が失われてしまうかもしれません。「3ジャンルだけでなくラブストーリーも含めた月9ドラマの多様性を守る」という意味でも「真夏のシンデレラ」は重要な作品なのです。

新人脚本家のみずみずしいセリフ

「真夏のシンデレラ」から目が離せない3つ目の要素は、新人脚本家の大抜擢。

脚本を担う市東さやかさんは、昨年「第34回フジテレビヤングシナリオ大賞」の大賞を受賞したばかりであり、当作が連ドラデビュー作。フジテレビ看板枠の月9ドラマに起用されたわけですから、市東さん自身もシンデレラと言っていいでしょう。

市東さんを抜擢したのは、同賞の審査をしていた中野利幸プロデューサー。その才能にほれ込み、連ドラの書き方を教えながら今作に挑んでいる様子が伝わってきます。2010年代ごろからドラマの世界では、主力脚本家が50~70代に集中するなど高齢化が不安視されてきたという背景もあって、アラサーの市東さんと若手育成に挑む中野プロデューサーを応援したくなってしまうのです。

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