月9「真夏のシンデレラ」はただイタいドラマなのか 「古い」「ダサい」酷評だらけのスタートだが…

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第1話の冒頭、20秒弱にわたって映されたのは海の映像。同作の舞台は神奈川県の江ノ島ですが、ここまでそれ以外のエリアが登場せず、大半が海辺のシーンで占められています。

主人公の蒼井夏海(森七菜)は、現在マリンアクティビティでトップクラスの人気を誇るサップのインストラクター。さらに主要キャストの中には、ライフセーバーの早川宗佑(水上恒司)もいます。

第1話では、夏海と水島健人(間宮祥太朗)、佐々木修(萩原利久)、山内守(白濱亜嵐)がサップをするシーン、海辺で打ち上げ花火があげられるシーン、夏海と健人がサップボードの上から夕日を見るシーン。第2話では、浴衣を着て夏祭りで射的などを楽しむシーン、浜辺で手持ち花火をするシーンなどがありました。

本当の“夏ドラマ”は希少かつ貴重

ここまで“夏”という季節性を前面に押し出したドラマはめったにありません。過去の月9ドラマで見ると、2016年に海辺のレストランが舞台の「好きな人がいること」、2013年に海辺の町が舞台の「SUMMER NUDE」、2008年に湘南の高校が舞台の「太陽と海の教室」、それ以前は1997年の「ビーチボーイズ」、1994年の「君といた夏」くらいでしょう。月9ドラマは1987年から現在まで37年にわたって放送されています。つまり、昨年まで36作の夏ドラマが放送されたのに、夏をフィーチャーした作品は5作程度しかなかったのです。

しかも「真夏のシンデレラ」の“夏”要素は、最高峰の「ビーチボーイズ」と匹敵するレベル。「どこをどう切り取っても夏」というレベルまで徹底することで、今夏の他作品はもちろん過去作品と比べてもトップクラスの夏らしいドラマなのです。

ちなみに現在放送中の作品で夏を感じさせられるのは、五島列島が舞台の「ばらかもん」(フジテレビ系)くらい。ゴールデン・プライム帯だけで約20作が放送されているにもかかわらず、夏ではなく別の季節のほうが合いそうな作品ばかりであり、長年このような状況が続いています。

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