【前編】トラブル続出「定年後再雇用」のQ&A 勤務態度悪い社員は再雇用しなくていい?
【継続雇用後の労働条件】
■高年齢者の安定した雇用を確保するという高年法の趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で決めることができる
■高年法が求めているのは継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年法違反となるものではない
しかし、労働者側も定年後の生活設計を考えるなかで会社からの給料を見込んでいることも多く、給与が変更するような提案をする場合には、特にトラブルになりやすい傾向があります。
再雇用の労働条件の設定は様々
そして再雇用の労働条件の設定については、そもそも不当な条件提示であるとして再雇用の締結を拒否して争うパターンと、不満はあるものの再雇用契約は締結したうえで勤務しながら、高年法やパートタイム有期労働法(同一労働同一賃金)違反を争うパターンとがあります。
⑴ 再雇用拒否が違法とされた場合は?
会社が、解雇理由があると主張して再雇用拒否をしたり、再雇用の労働条件が整わなかったことを理由として再雇用を拒否したりしたとします。その後、裁判になり、会社の再雇用拒否が違法だと判断された場合には、当該労働者との関係はどのようになるのでしょうか?
この点について、裁判所が当事者間の再雇用契約内容を決定し、そのような再雇用契約が成立しているという形で踏み込んで判断する裁判例は見かけません。
特に初回の再雇用契約の場合には、契約内容を決める手がかりが乏しいため(過去に当事者間で再雇用しているなど、契約内容について手がかりがあるのであればともかく)、裁判所としても、労働契約内容を決定することに躊躇があるのだと思われます。