「社会のために働きたい人」はなぜ増えたのか? 藤沢烈と駒崎弘樹、「企業×復興」を語る<1>
駒崎:それでNPOを始めようと決めて、社会起業を目指す人たちのコミュニティの門をたたいたのですが、そのときたまたま相談に乗ってくれたのが烈さんだった。そこからの付き合いですね。
藤沢:僕は最初「フローレンス」というかわいらしい名前の団体が病児保育事業をやると聞いて、女性の方が代表なのかな、と勝手に思っていたんですよ。そうしたら駒崎さんが出てきたので、「“フローレンス”っていう名前は、どうなのかな?」みたいなことを言っちゃった記憶があります(笑)。
駒崎:そういった意味では、いけすかないファーストコンタクトでしたね。
(会場笑)
藤沢:そうですね(笑)。もう10年以上前の出来事です。
駒崎氏の本が「社会起業家」を認知させた
藤沢:駒崎さんは2007年に『「社会を変える」を仕事にする ――社会起業家という生き方』(英治出版)という本を出しましたね。
駒崎:はい。この本が“社会起業家”という語を広め、関心を高めたところはあると思います。2015年現在は「ソーシャルな形で働こう」という新しい流れができていますけれど、10年前は全然違いましたから。
立ち上げ期(2003~2006年ごろ)は“野武士”みたいな人がいっぱい集まって、それはそれで楽しかったんですけれど、まだまだワケがわからなかった。
藤沢:僕が“社会起業家”というコンセプトを知ったのは2001年でした。ちょうどマッキンゼー&カンパニー(米国系のコンサルティング会社)に入社内定した頃で、ここは当時、イギリスや米国の社会起業の立ち上げ支援をずいぶんやっていたのです。それで内定者同士で「日本支社でも“社会起業家”やNPOに関する研究会のようなものをやろう」と話して、実際に会を立ち上げたんですね。
でもそれからしばらく、“社会起業家”はマイナーなものでした。2007年に駒崎さんの本が出たのがきっかけで、流れが変わりましたね。
駒崎:そう言っていただいて、ありがとうございます。僕自身もその頃から、みんなが“社会起業家”と呼んでくれるようになって、ようやく市民権を得た感じがありました(笑)。
10年前と比べたら、今はすごく事業をしやすくなりましたね。クラウドファンディングや企業の助成プログラムができて、そこそこ事業も立ち上げやすくなっていますし。
藤沢:私は震災復興からなので、2011年の後に団体(RCF)を立ち上げているのですけれど、その恩恵は感じます。
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