韓国の朴槿恵大統領がダメなこれだけの理由 大統領就任だけが目標だった国家元首の哀れ

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また、2013年2月の就任以来、大統領が「任命同意案」を国会に提出し、国会が可決した後にその者を任命する手順を経る「国務総理」(首相)が相次いで辞職に追い込まれている。

元憲法裁判所長の金容俊(キム・ヨンジュン)氏を朴政権初代首相に指名したが、息子2人の徴兵忌避と不動産投機などへの不正疑惑で辞退。そして元釜山地方検察庁長の鄭烘原(チョン・ホンウォン)氏が首相に就任したが、2014年4月のフェリー事故の責任を取り辞意を表明。それを受けて、大法院(最高裁)判事だった安大煕(アン・デヒ)氏を指名した。

ところが、安氏が弁護士だった時期に弁護士の報酬としてはふさわしくない巨額の報酬を受けていたことが問題視され、これも指名を辞退。次に指名された文昌克(ムン・チャングク)氏は韓国の有力紙『中央日報』の主筆を務めた人物だったが、過去に日本による植民地支配や南北分断は「神の意思」 と発言したことが問題視され、これも辞退。結局、鄭首相の留任を発表せざるをえなかった。

2015年1月、ようやく与党・セヌリ党院内代表の李完九(イ・ワング)氏を指名し2月に就任したが、4月になって建設会社からの不正資金疑惑が発覚、辞任した。どんな政治家を指名しても、カネなどの不正がまとわりつく。「韓国首相には、もう宗教界から指名するしかないのではないか」との冗談めいた言葉も出ているほどだ。

朴政権を根底から揺るがすスキャンダル

李完九前首相が辞任するきっかけとなったのは、政界と強いパイプがあった韓国企業の前会長が自殺する直前に残したメモだった。ここには、朴政権の大統領府の秘書室長3人、2012年の大統領選で朴陣営の選挙対策本部幹部などをつとめた8人の名前が記されており、一大スキャンダルに発展。朴政権を根底から揺るがすスキャンダルとして、その火は収まっていない。

こうした大スキャンダルが発覚した中、朴大統領は4月16日から27日まで、南米4カ国への外遊を続けた。なぜこの時期に南米を訪問するのか、その目的はよくわからないものだった。

就任から3年目の朴槿恵大統領。どんなにひいき目に見ても、最近の行動は迷走しているとしか言いようがない(写真:Yonhap/アフロ)

このスキャンダルだけでなく、2014年に300人以上の死者を出したフェリー事故1周忌を迎え、関連行事が相次いで行われることはわかっているはずなのに外遊を強行した。しかも、事故現場での追悼行事に当初は不参加を表明。外遊直前、それまでの批判を意識したのか、行事当日になって隠れるように追悼行事に参加したものの、遺族たちからの強い反発を受けた。

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