韓国の朴槿恵大統領がダメなこれだけの理由 大統領就任だけが目標だった国家元首の哀れ
他の閣僚も関連行事に参加することをせず、当時の李完九前首相が別の追悼行事に足を運んだものの、これも遺族からの反発を受けて門前払いを食らっている。帰国後、李完九首相の辞任を「遺憾に思う」と発言。まるで人ごとのような発言に、韓国メディアからは、大統領自身の責任も行動も振り返らず、まるで別人が話している朴大統領の「幽体離脱」発言とまで言われる始末である。
朴大統領の不可解な行動のうち、もっとも理解できないのが、このフェリー事故に対する態度だ。2014年4月、韓国・仁川港から済州島行きのフェリーが沈没。乗員乗客476人のうち死者295人を出した。死者のうち、250人が修学旅行中だった高校生という痛ましい事故だった。
また、乗員・乗客9人がいまだに行方不明のままである。事故発生当時、救助活動や救援体制の不備で政府が強い批判を受け、朴大統領も涙を流して謝罪声明を出し、その後の政権運営にも多大な支障を来した事件だった。1年後に追悼行事が行われることはわかっているはずなのに、前述のように南米外遊を実施した。すでに、あの時の苦労も、あの時の涙も朴大統領は忘れてしまったのだろうか。
遺族の抗議集会を放水により解散
さらに、フェリー事故の遺族や行方不明の家族らが中心となってソウル中心部で開いた集会に、解散を命じた警察が放水車による放水という強硬手段をつかって解散させたことだ。
しかもその水の中には、催涙性のある物質を入れていた。程度の差はあれ、1970年代、1980年代の民主化闘争の際に、時の軍事政権が乱用した手段を彷彿とさせるものだ。これが、言論の自由、集会の自由といった民主主義国家を標榜する国のやり方だろうか。
「国民の目を見て話さない、大統領の“不通”(プルトン)が出ただけ」(韓国紙記者)。「不通」とは韓国人が朴大統領の姿勢を揶揄する言葉で、「コミュニケーション力がなく、発する言葉に中身がなく心もない」という意味だ。
だが、記者はかつて朴大統領のそのコミュニケーション能力に非常に驚き、賞賛したことがある。朴大統領が野党代表だった2000年代、国会議員選挙や地方選挙を走り回って支持を訴えていた。ソウル市内で彼女の演説を実際に聴いていたが、当時、彼女は言葉を選びながらも確実に有権者の心をつかむ言葉をつかって真摯に話をしていた。野党不利という下馬評を覆して善戦、あるいは勝利へ導いた言葉の力は本物だと思っていた。当時の朴大統領の別名は「選挙の女王」。だが、今ではまさに不通である。
「政治も社会も右向け右-拡大する韓国の右派」。こんな刺激的な見出しで韓国政治・社会の今を描写したのが、韓国の全国紙『ソウル新聞』が日本で発行する月刊のフリーペーパー『TeSORO』(テソロ)だ。2013年に創刊され、発行部数は2万部。同紙4月号には、韓国政治だけでなく韓国社会も右傾化している状況が赤裸々に記されている。その一端を紹介してみよう。
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