震災から1カ月以上休まず診療、長期戦を覚悟、政府は開業医にも配慮を--福島・浪江町の関根俊二・国保診療所長に聞く
--被災した住民の健康状態はどうですか。
避難所での生活が長期化する中で、栄養や精神面で問題に直面している方が増えています。今の状態を打開しなければ、具合が悪くなる人がますます増えることは目に見えていましたので、4月4日の週から二本松市の岳温泉や福島市の土湯温泉、猪苗代町など県内6カ所に、約6000人が分散して順次移り住むことになりました。
そのため、ここの診療所で診察する人は120人→70人→50人へと日を追うごとに減少し、4月13日には約30人になりました。ここにいても仕方がないということで、診療所は15、16日で引っ越し作業を行い、18日から岳温泉に移動することになりました。当分の間、岳温泉で診療に従事することになります。
振り返ってみると、3月23日から25日頃がいちばん大変でした。東和地区に避難している方は高齢者ばかりで、肺炎や感染性胃腸炎がはやりました。すべての避難所を消毒し、感染した方は近くの集会所にいったん隔離しました。現在は感染症はおさまりましたが、健康に問題を抱えている方は少なくありません。
--先生方の診療を受けて、患者さんの反応はいかがでしたか。
この仮設診療所では、医師は私を含めて6人、看護師3人、事務2人、歯科衛生士1人、そしてボランティアとして看護師3人が手伝いに来てくれていました。その後、4月14日現在は医師6人、看護師3人で回しています。6人の医師は全員が浪江町で開業していたか、病院に勤務していたため、患者さんにとっては顔なじみでした。「先生に会えてよかった」と喜ばれ、安心していただきました。
避難所から仮設診療所への通院のために、浪江町はマイクロバスを動かしていますが、中には体が弱く動けない方もいます。そのため、医師や看護師が避難所への巡回診療を続けてきました。
--今後の見通しはいかがですか。
温泉旅館などに移ることにより、住民の生活状況は今よりもよくなります。きちんとした食事を食べ、お風呂に入り、畳の上で生活できるようになります。今まではパンやおにぎり、インスタントラーメンなど救援物資ばかりで、生野菜などは不足していました。