トヨタ自動車と同子会社の格付けを引き下げ方向で見直し《ムーディーズの業界分析》

トヨタ自動車と同子会社の格付けを引き下げ方向で見直し《ムーディーズの業界分析》

コーポレートファイナンスグループ
VP−シニア・アナリスト 臼井 規

ムーディーズは、2011年4月6日、日本最大の自動車メーカー、トヨタ自動車(本社:愛知県豊田市)の発行体格付けおよび無担保長期債務格付けAa2、および同社の信用補完付き子会社の格付けAa2を引き下げ方向で見直しとした。

トヨタ自動車の短期格付けPrime-1は確認されており、今回の見直しの対象とならない。

今回の見直しの対象となる発行体は、トヨタ自動車ならびに関連子会社である。

今回の格付けの見直しは、3月11日の地震と津波、それらに伴うサプライチェーンの停滞の影響により、トヨタ自動車の財務指標と業績が低下するであろう、というムーディーズの見通しを反映している。これまでの、「ネガティブ」の見通しに反映されていたとおり、トヨタ自動車の財務指標は、Aa2格付けに比して、すでに見劣りしていた。

トヨタ自動車の生産工場は、地震と津波による直接の被害を受けていないが、今回の災害により、500品目程度の部品調達が滞っているもようであり(1台につき、数万個の部品が使用されるものの)、部品が1点でも不足すると、生産の重大な障害になりうる。3月末の時点で、いくつかの工場で限定的な生産が再開されたが、通常の生産体制が復旧するまでには数カ月を要する可能性がある。

加えて、電力不足の影響も懸念される。トヨタ自動車の生産工場は関東地域にはほとんどないが、高い電力需要が生じる夏場には、電力不足が生じる可能性があるため、同社の部品サプライヤーは苦慮するだろう。

また、トヨタ自動車の日本市場への依存度は約27%と依然として高く、今後の消費意欲低下によって国内需要が悪影響を受けかねず、その後の買い替え需要でも埋め合わせできない可能性がある。

トヨタ自動車の営業利益率は、同業他社と比較して低い水準にとどまっている。同社は、昨年来、苦闘している品質問題の解決に注力しており、それに関連する支出は依然として高い。加えて、競争環境が激化していることから、世界の主要市場において、同社が確立してきた主導的な地位を回復させることは、困難となっている。

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