実は勉強が嫌い「福沢諭吉」なるほどな英語習得術 漢文学習で身につけた「素読」を英語でも応用

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幼くして父親を亡くし、母親によって女手一つで育てられた諭吉は、貧乏な生活を強いられていました。そんなある日、諭吉は兄から以下の言葉を告げられます。

原書というはオランダ出版の横文字の書だ。いま日本に翻訳書というものがあって、西洋のことを書いてあるけれども、真実に事を調べるにはその大本の蘭文を読まなければならぬ。
引用:福沢諭吉・著/富田正文・校訂『新訂 福翁自伝』(岩波文庫)岩波書店 1937) 

漢書を学んでいるときは、クラスメートの中では出来がよかったこともあり、オランダ語への興味が自ずと芽生えた諭吉。長崎へ行けば、原書が手に入ります。オランダ語を本格的に学ぶために、長崎に行くことを決心するも、諭吉にはそんなお金はありません。そんなとき、手を差しのべてくれたのが、漢学塾でお世話になった前述の白石照山でした。漢学者でもあった父が遺した蔵書を照山に15両で買い取ってもらった諭吉は、そのお金を手にし、長崎へと出向きました。

五感を刺激しながら学習する

ただし、手持ちのお金には限りがあります。諭吉は原書がたやすく手に入る長崎のオランダ砲術家の自宅に居候をしたり、知り合いから本を借りたりしながらオランダ語を学んだようです。例えば200ページ余りあるオランダ新版の築城書を知り合いから借りてきたときには、まず数日間ほぼ徹夜で必死に書き写し、 それからオランダ語を知っている蘭学医の先生とできあがったものの読み合わせをしながら、オランダ語を上達させていきました。

語学では、五感を刺激しながら学習することで、知識が記憶により定着しやすくなるといわれています。諭吉が実践したオランダ語学習法は、文字を見て、紙に書き、そしてそれを声に出して読むという方法でした。それにより、視覚や触覚、聴覚が刺激されるので、知識を記憶に定着させるにはうってつけの方法と言えます。実はこれ、歴史的にも効果が証明された方法だったのです。

諭吉にとってオランダ語は異質な言語でしたが、古代の人たちにとってのそれは大陸から入ってくる漢字。そして、古代の人たちが漢字を覚えるために実践したのが、木簡や土器に歌を書き、それを読むという方法でした。

そもそも日本の漢字は発音と意味の両方の情報を持っており、こうしたタイプのものは全体の8割を占めています。ここで、「固」「故」「姑」「胡」という漢字を例に考えてみましょう。いずれも「古(コ)」という発音に関する情報に加え、「乾いて固い」という意味に関する情報を持っています。古代の人たちは、漢字を木簡や土器に記しながら、発音と意味を同時に習得していったとされています。

ところで、英語はどうでしょうか。例えば同じ「li」でも、「little」ではその発音は「リ」であるのに対し、「light」は「ライ」と発音されます。また、これらは意味の異なる単語です。たとえ英語の綴りを理解できても、発音や意味の理解には及びません。漢字とは違って、英語の綴りを書いて、同時に発音や意味をマスターするのは難しいのかもしれません。

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