江ノ電が駅ホーム上で展開「農業と小さな水族館」 魚の陸上養殖と野菜の水耕栽培を3月に始動
3月31日には、実際に食材として使用してもらうため、アクアガーデンラボで収穫した野菜を、イタリアンレストラン「イルキャンティ・ビーチェ」に届けるデモンストレーションも行った。
運送にあたっては、江ノ電が事業展開しているシェアサイクル「SHONAN PEDAL(湘南ペダル)」の電動アシスト自転車を使用し、環境にやさしい輸送手段で納品した。
また、アクアガーデンラボではインスタグラムを開設して、魚の育成や野菜の栽培状況などを定期的に発信している。アクアポニックスの魅力を伝えるために、情報の共有も積極的に行っているわけだ。
旅客減少で新しい事業に迫られた
しかしなぜ、江ノ電で研究施設を設置し、魚の養殖や野菜の栽培をすることになったのか。露木氏に聞くと、次のような回答が返ってきた。
「一番大きな理由は、新型コロナウイルスの影響によって、お客様の数が減ってしまったことで、当社の収入が半分以下になってしまったこと。何か新しい事業をしなければと考えたのが根本的な理由です。いろいろな事業を探している中で、たまたま藤沢市にアクポニという企業がアクアポニックス事業の農場を開設しているとわかり、興味を持ち2021年9月頃、個人的に農場へ行きました」
江ノ電とアクアポニックスとの出会いは、露木氏の個人的な興味からということだが、江ノ電から企業としてアクポニに声がけをして、連携事業を始めた経緯はどのような理由からか。
「環境にやさしく、きれいな魚や野菜を見ながら癒やされる。これを事業としてチャレンジしているアクポニさんと一緒に弊社がやったら、何か新しい可能性があるのではと思い、2022年5月に会社に提案すると、やってみようということになりました」。
今はまだ事業の可能性の検証段階ということだが、コロナ禍の時代において、新規事業としていち早く、環境にやさしいアクアポニックスを始めたのは、フットワークの軽い江ノ電ならではと感じる。
しかも本社が併設されている江ノ島駅に研究施設を設置したことで、メンテナンスもすぐにできる。通常は携帯のアプリからカメラでモニタリングしているため、1日に1回様子を見に行くだけの手間ですむのも効率的だ。魚への餌も自動給餌器で行えるので、よい環境で無理なく、養殖や栽培が行われている。
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