江ノ電が駅ホーム上で展開「農業と小さな水族館」 魚の陸上養殖と野菜の水耕栽培を3月に始動

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細かい仕組みなど難しい部分については、生産管理コンサルティングとして、アクポニの孫田氏が指導をしている。孫田氏は、「日本中にアクアポニックスを広めたい。ネーミング効果の高い江ノ電さんと一緒にアクアポニックスを行うことで(両社の農場がある)藤沢市から全国に発信できる」という強い想いがあり、今後1年から2年のプランで、どういった価値を創り出せるか様子を見ていくという。まずは最初の1年が勝負であろう。

アクポニのシステム自体を江ノ電が購入し、運用する位置づけだが、今後どれくらいマネタイズしていけるかの検証をしていく。具体的には魚や野菜の生産、加工、販売などを行い、どれくらいの収入が見込まれるのかを検証していく。野菜は124株の栽培、魚は20匹程度の養殖が可能だが、その中でどれだけ利益率をあげられるのか。大規模に行った際の収益性を評価することが今後の課題だという。

始めたばかりの今は、まだ小さな規模だが、江ノ電にはブランドという武器があるし、アクポニには農場や生産ノウハウがある。お互いの強みを生かし、いずれ大きな規模での展開ができるかもしれない。

江ノ電沿線の価値向上につながる

また、露木氏は「野菜の水耕栽培自体は、高架下などで阪神さんや東京メトロさんなどもやっていますが、アクアポニックスによる駅産地消という新しい取り組みは、日本初だと思う」としたうえで、「これからもっと広めていくために、効果的にいろいろチャレンジしていきたい」と話す。

さらに「アクアポニックスをきっかけとして、いっしょにやってみたい人が増え、江ノ電沿線に来れば、よりエシカルな生活ができるようになると考えていただく。その結果、沿線の価値が上がってくれれば、観光に来たり住んだりする人が増加し、江ノ電もずっと存続できるのではないか」。

有言実行。江ノ電では、4月下旬から、早速江ノ島駅と藤沢駅に設置されている冷蔵庫型販売機で江ノ島駅で栽培した野菜を陳列し、販売を開始した。

江ノ電の江ノ島駅に、研究施設がある。施設の中では、農業や魚を育てている。これだけでも大きな売りになるが、これからの地域貢献や販売展開を考えると、やさしい社会への取り組みとして、非常に有効な方法だと感じる。

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渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

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わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

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