7時間未満の睡眠が続くと「人は太る」という根拠 代謝に影響を与え、体はエネルギーを蓄えに走る

✎ 1 ✎ 2
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

この後、もう一度、コンピュータ上で先に選んだ食事の量を見直し、あらためて理想的なサイズを回答してもらった。すると、睡眠をとらなかった実験参加者たちは変わらず、十分に睡眠をとった人たちよりも大きめのサイズを選択し、しかもファストフードを好む傾向が顕著だった。朝食後に満腹だと答えていたにもかかわらず、だ。

7時間未満睡眠では「甘いもの」に抗えない

アメリカでも同様の研究が行われていて、睡眠時間が短い人、具体的には一晩の睡眠時間が7時間未満の人は総じてより多くの糖分をとり、食物繊維の摂取量が少ないという結果が出ている。

スウェーデン人研究者とドイツ人研究者、そして著者による別の共同研究では、被験者は1回目の実験では眠ることを許され、2回目の実験では徹夜を強いられた。それぞれの翌朝、被験者たちに300スウェーデン・クローナを渡し、「食べ物を買ってきてください。明日はすべての店舗が休業するという前提で、全額を使ってきてください」と伝え、買い物に行ってもらった。

さて、何を買ってきただろうか。予想どおり、徹夜明けの被験者たちは、たっぷり眠ったあとに比べ、脂肪分が多く、甘く、カロリーの高い食品を購入した。これは進化の観点で見れば、非常に賢い選択だ。よく眠れず、目が覚めている間に多くのエネルギーを消耗したときには、脳に再び十分な燃料を補給しなければならない。

この研究結果は、睡眠不足が食事の量だけでなく、食事内容にも影響を与えることを示している。

『熟睡者』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

満足に眠れないまま朝を迎え、ビュッフェで朝食をとる場面を想像してほしい。何回、おかわりすることになるだろう。そのうえ、お皿にはオートミールではなく、厚くて甘いパンケーキが盛られるにちがいない。

睡眠不足の日に食料品の買い出しに行ったなら、何がカートに放り込まれることになるだろうか。果物や野菜コーナーよりも、ケーキのカウンターやお菓子売り場のほうが魅力的に感じられる可能性が高く、高カロリーの食べ物でいっぱいの買物袋を抱えて家路につくことになる。

その結果、自分自身の体にダメージを与え、体重を増やすだけでなく、家で待つ子どもたちも冷蔵庫の中の牛乳や水の代わりに、買い物袋の中のジュースを欲しがるだろう。

それもこれも、あなたの睡眠が足りなかったばかりに……。

クリスティアン・ベネディクト スウェーデン・ウプサラ大学准教授、睡眠研究者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Christian Benedict

1976年、ドイツ・ハンブルク生まれ。スウェーデン・ウプサラ大学准教授、神経科学者、睡眠研究者。キール大学の栄養科学修士課程を修了。リューベック医科大学で神経内分泌学を研究、博士号を取得。2013年よりウプサラ大学の教壇に立つとともに、同大学の睡眠研究を牽引。

この著者の記事一覧はこちら
ミンナ・トゥーンベリエル ジャーナリスト、作家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Minna Tunberger

ジャーナリスト、作家。約20年にわたり、スウェーデン通信(TT)や日刊紙「スヴェンスカ・ダーグブラーデット」等の主要メディアに健康をテーマにした記事を執筆。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事