7時間未満の睡眠が続くと「人は太る」という根拠 代謝に影響を与え、体はエネルギーを蓄えに走る
この後、もう一度、コンピュータ上で先に選んだ食事の量を見直し、あらためて理想的なサイズを回答してもらった。すると、睡眠をとらなかった実験参加者たちは変わらず、十分に睡眠をとった人たちよりも大きめのサイズを選択し、しかもファストフードを好む傾向が顕著だった。朝食後に満腹だと答えていたにもかかわらず、だ。
7時間未満睡眠では「甘いもの」に抗えない
アメリカでも同様の研究が行われていて、睡眠時間が短い人、具体的には一晩の睡眠時間が7時間未満の人は総じてより多くの糖分をとり、食物繊維の摂取量が少ないという結果が出ている。
スウェーデン人研究者とドイツ人研究者、そして著者による別の共同研究では、被験者は1回目の実験では眠ることを許され、2回目の実験では徹夜を強いられた。それぞれの翌朝、被験者たちに300スウェーデン・クローナを渡し、「食べ物を買ってきてください。明日はすべての店舗が休業するという前提で、全額を使ってきてください」と伝え、買い物に行ってもらった。
さて、何を買ってきただろうか。予想どおり、徹夜明けの被験者たちは、たっぷり眠ったあとに比べ、脂肪分が多く、甘く、カロリーの高い食品を購入した。これは進化の観点で見れば、非常に賢い選択だ。よく眠れず、目が覚めている間に多くのエネルギーを消耗したときには、脳に再び十分な燃料を補給しなければならない。
この研究結果は、睡眠不足が食事の量だけでなく、食事内容にも影響を与えることを示している。
満足に眠れないまま朝を迎え、ビュッフェで朝食をとる場面を想像してほしい。何回、おかわりすることになるだろう。そのうえ、お皿にはオートミールではなく、厚くて甘いパンケーキが盛られるにちがいない。
睡眠不足の日に食料品の買い出しに行ったなら、何がカートに放り込まれることになるだろうか。果物や野菜コーナーよりも、ケーキのカウンターやお菓子売り場のほうが魅力的に感じられる可能性が高く、高カロリーの食べ物でいっぱいの買物袋を抱えて家路につくことになる。
その結果、自分自身の体にダメージを与え、体重を増やすだけでなく、家で待つ子どもたちも冷蔵庫の中の牛乳や水の代わりに、買い物袋の中のジュースを欲しがるだろう。
それもこれも、あなたの睡眠が足りなかったばかりに……。
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