【前編】資産1.3億の投資家が生涯保有決めた銘柄 「バブルの象徴」だったあの銘柄も今では優良に
ここからは具体的な指標を取り上げつつ、NTTをビジネス面から分析していきましょう。
初心者はまず「EPS」だけ見ればOK!
最初に取り上げたいのが「EPS(1株利益)」です。文字通り、「1株で稼ぎ出す利益」のことを指し、NTTはきれいな右肩上がりを描いています。投資初心者の場合、まずはこの「EPS」を見れば十分で、余裕があれば売上高や、営業利益の推移を補足的に見ていきましょう。
なぜ、NTTの「EPS」は右肩上がりなのか。背景には(1)ビジネスの強みと(2)自社株買いがあります。
まず、(1)のビジネスの強みについてですが、スマホやネットは現代社会ではインフラとなっており、不景気でも使わなくなることのない、欠かせない存在です。また参入障壁が高く、代替企業が少ないという面もあります。さらに、一度契約すると別の会社に乗り換えるのが面倒なので、使い続ける人が多い……という、ストックビジネス的な側面もあります。業界が急に大きく伸びることはないが、大きく下がることもない。それがNTTなのです。
次に、(2)の自社株買いについて。これは「企業が株式市場から過去に発行した自社の株式を、自らの資金で買い戻すこと」を指す言葉なのですが、自己株を通じ、企業は「EPS」を向上させることができます。自己株は、「EPS」を計算する時の分母から、省くことができるからです。
NTTの自社株買いの背景には、政治的な面もあります。同社の株は、国が3分の1を保有しているのですが、国にとってこれが財源の一部になっているのです。当然、国が保有するNTT株を売却すれば国の保有数は減少しますが、NTTが自社株買いをする(発行株数を減らす)ことで、国の保有率を3分の1に調整することができます。なんとも政治的な話ですが、自社株買いが今後も継続的に期待できることは、個人投資家にとってはありがたい話です。
ここまでが前編です。後編の記事(21日公開予定)では、NTTを「配当」や「永久保有性」「どの程度の水準なら買っていいか」等の観点から解説しています。(構成:東洋経済オンライン編集部・岡本拓)
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