石原氏の「参院鞍替え」に批判も自信ありげな根拠 「世襲のボンボン」に自民内から批判続出

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さらに、石原氏が頼りにする岸田首相との親密な関係も疑問視されている。石原氏の落選を受け、岸田首相は観光立国担当の内閣官房参与への起用を決めたが、その直後に、石原氏が代表を務める政党支部が、コロナ対策の助成金を受け取っていたことが発覚、辞任を余儀なくされた。そもそも岸田首相は長男・翔太郎氏の政務秘書官起用などで“身内偏重”が批判されており、「石原氏のくら替えを容認する気持ちは全くない」(官邸筋)とされる。

石原氏の最大の弱点は、過去に積み重ねてきた「問題発言」だ。特に、環境相だった2014年6月に福島原発事故の除染で出た汚染土の中間貯蔵施設に関し、地元住民との調整の際に言い放った「最後は金目でしょ」という発言は、「いまでも政界の語り草となる暴言」(自民長老)とされる。

2年後の衆参同日選ならチャンスがあるというが…

こうした批判にさらされる石原氏だけに、今回の参院くら替えの意向表明は「本人も反対されるのが事前に分かっていたはず」(自民幹部)だ。にもかかわらず、石原氏が自信ありげなのは「岸田首相が、自民党総裁選後まで解散を先送りし、2025年7月の次期参院選との衆参同日選挙を視野に入れていると受け止めているのが理由」(都連関係者)との見方もある。

要するに、「後2年間岸田首相が解散せず、衆参同日選で勝負をかける状況となれば、自民党内の候補者調整も衆参で複雑化し、参院東京で出馬のチャンスが広がるとの読み」(同)があるというわけだ。

たしかに、現状が続く限り、衆院解散の時期やそのための候補者調整などの判断は、岸田首相と選挙司令塔の森山氏が握っているのが実態。その両氏と親密な石原氏だけに、党内にさまざまな臆測を広げているのだ。

「政界の一寸先は闇」というのは言い古された言葉だが、そうなると「2年先など何が起こってもおかしくない」(自民長老)のは当然でもある。果たして、「軽挙妄動としか見えない石原氏の今回の動きが、実は強かな読みに基づくものかどうかは、今後の岸田首相の解散戦略次第」(同)といえそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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