モラハラで「妻子に去られた夫」たちが集い語る事 「モラハラDV加害者」は本当に変われるのか?(後編)
そもそも被害を受けた人からすれば「変われない」と思うのも当然なんです。信じていたのに約束を守ってもらえなかったり、変わると言ったのに変わってもらえなかったりする経験を何度も繰り返して、とても深く傷ついているので。
被害者の声って、最初は黙殺、矮小化されてしまいます。「DVって何? またカタカナ言葉使って」とか「そのくらいのことで」などと揶揄される。そういうものを乗り越えるためには、強い言葉で声を上げていく必要があって、これは本当にすごく大変なことだと思います。
それに「(加害者が)変われる」というと、妻や夫が「私がもっと努力しなければいけない」と思って、さらに苦しんでしまうことがあります。それで安易に「変われる」と口にできなかった、という面もあると思います。
――そういった背景から、加害者は「変われない」と言われてきたけれど、実は変われる例もあるわけですね。
はい、「加害者が変わるにはどうしたらいいか」という話が出てくるのは、だいぶ後のフェイズです。まず被害者が言葉を持たない状態で相談をするところから始まり、被害者支援の専門家がそれに名前を付ける。それによって潜在的な被害者がさらに声を上げられるようになり、被害者を自認する人が増え、「加害者」と名指しされる人が増える。
「加害者」は最初、「変われないモンスター」と糾弾されますが、糾弾だけでは加害者が次の被害者を増やすだけと知られ始め、少しずつ加害者変容の取り組みや具体例が出てくる。それが、いまなんだと思います。
僕は、変わる人たちが増えてくると、ようやく「人は変われる」という認知になって、だからこそ加害者は加害者であることを認められるようになると思います。なぜなら、「加害者は変われない」と世間で言われているなかで、加害者であることを認められる人はごくわずかです。認めることに何のメリットもないから。
しかし、加害者は変われるという認知が社会にあり、そのための学習資源や共同体があるなら、それを認めるメリットがあります。そこで学ぶことで、パートナーシップや親子関係、職場の問題を改善できれば、本人にとっても生きやすくなるからです。
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