ポルノ新藤晴一、48歳でダメ出しされて学んだこと 「言われた瞬間は、かなり落ち込みましたよ」
── その絶妙なバランス感覚が、ポルノグラフィティが息の長い活動を続けられる原動力になっているのでしょうか。
新藤:自分のやりたいことだけを追求していたら、25年もバンド活動を続けられていないと思いますよ。お互いにやりたいことを尊重しあっている。その関係があるから、続けられているのかなと思います。
若さとキャリアで、人生はつねに対価交換をしているのではないか
── デビューから25年、現在は40代である新藤さん。活動開始当初と比べると、精神的・体力的にもできること・できないことが異なると思います。その変化とどのように向き合っていられますか?
新藤:毎年いろんな音楽が登場していて、そのすべてを理解しているか? と聞かれたら、そうではないんですよね。だから、現代のニーズにあうものを作れと言われても、できないことがあると思う。デビューしてから5〜10年くらいは、がむしゃらに時代に合うものを作りたいと思ったし、そういうものが作れるという自負があったけれど、最近はそういう対抗意識も少なくなってきましたしね。
音楽って、スポーツみたいに勝ち負けが存在しない世界。僕は趣味でゴルフをするのですが、プロの方々はいつもシードに入れるかどうかドキドキしながらやっている部分がある。音楽に関しても、もちろんシードに入る(ヒットする)ことを求められる場面もあるのかもしれませんが、例えそこに入らなくても活動をすることができるんです。
幸い、僕らはたくさんのファンの方々が支えてくださっているおかげで、最近はシード権を獲得することを気にしなくて活動することができるようになれた。確かに、デビュー当時と比べるとできないことも増えてきましたが、そのかわりキャリアを重ねることで得られたものはたくさんあったのではないのかって。人生はつねに対価交換をしているのではないかと思います。
── 年代によってできることを楽しんでいらっしゃる?
新藤:20代は、未来の自分のために頑張らないといけないことがたくさんあった。30代になると、その頑張った自分に感謝したくなる。40代になった現在は、今後年齢を重ねた自分が感謝したくなるようなことをしなくてはいけないと思っています。それは楽しいと思えることをたくさんすることだなって。今取り組んでいるミュージカルには面白さしか感じません。