電動キックボード「時速6kmモード」の現実解 歩道を走る新たなモビリティに問われるモラル

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

要するに、特定原付は走行できる場所が、車道、普通自転車専用通行帯、自転車道、そして「自転車走行可」の標識がある一方通行路と、原則は自転車と同じであるが、特定原付は“原動機付き”であることから、車道での危険回避時に歩行者と同様とされる時速6kmに「速度制御する」という建前だと言える。

これに対してストリーモの場合、3輪かつ独自の自律型安定機構を持つことで、時速6kmモードで走行しても車体の安定性は、極めて高かった。また、バック走行も可能だ。

そのうえで、商品説明の動画の中に歩道で歩行者と並んで会話をしながら走行するシーンがあるなど、歩道を「車道からの危険回避の場所」という解釈に限定している印象はない。

特例だからこそ問われるモラル

警視庁交通部が作成した「令和5年4月1日施行・7月1日施行、道路交通法 一部改正のポイント」という冊子の中では、特例特定原付での歩道等の走行について、次のような記載がある。

「通行するときは、歩道の中央から車道寄りの部分又は特例特定小型原動機付自転車・普通自転車の歩道通行部分を徐行しなければなりません」

また、令和5年4月1日施行の改正道路交通法の施行によって、歩道等を走行できる「移動用小型車」(身体障害者用の車を除く)や、配送用ロボットなどの「遠隔操作型小型車」が新設された。

各省庁で作成した特定小型原動機付自転車の周知・啓発用のチラシ(警視庁HPより)
各省庁で作成した特定小型原動機付自転車の周知・啓発用のチラシ(警視庁HPより)

そのうえで、歩行者の定義に新たなモビリティが加わったとして、次にように説明している。

「道路を歩行する者のほか、移動用小型車、身体障害者用の車、遠隔操作型小型車、小児用の車又は歩行補助車等を通行させている者(遠隔操作型小型車を遠隔操作によって通行させている者を除く)並びに自動二輪車、原動機付自転車又は自転車等を押して歩いている者も歩行者とみなします」

ここに、特定原付が特例特定原付という“特例で加わる”という法的なたてつけだ。なんともわかりにくい説明だが、「歩道でさまざまなモビリティが共存する時代になった」ということは間違いない。だからこそ、人々の「モラル」が問われるようになる。

地域よって歩道、および歩道周辺の車道などの交通環境は大きく違うことから、市町村の条例などによるローカルルールやガイドラインの作成などによって、それぞれの地域が「歩道の最適な利活用」を心がけることが必要となる。

この記事の画像を見る(7枚)
桃田 健史 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事