子どもに「信頼される大人」の4つの話の聴き方 傾聴カウンセラー・辰由加さんに聞く

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傾聴カウンセラーの辰由加さん
「傾聴するときは、事柄よりも感情に焦点を当てることが大切」と話す辰氏(写真:不登校新聞)
「傾聴」という言葉をご存じですか。話をただ聞くのはなく「傾聴」することで、相手との信頼関係が深まるといいます。傾聴を通して不登校親子をサポートする、傾聴カウンセラーの辰由加(たつ・ゆか)さんに話を伺いました。

「子どもの話が聴けるようになりたい」

——息子さんがいじめをうけていたり不登校になったりなど、家族で苦しんだ時期があったとのことですね。

はい。現在すでに成人している長男は小中学校時代を通していじめにあっていて、不登校だった時期もありました。小学1年で学校へ行かなくなったとき、私は「みんなは行くのに、うちの子は行かない」ということにとらわれてしまって。よかれと思って、友だちに誘いに来てもらったり声を荒げたり、学校へ行かせる方法ばかり考えていたんです。

当記事は不登校新聞の提供記事です

そんなとき、ある方に相談したら「お母さん、子どものこと愛してる?」と言われました。「愛してますよ、もちろん! だから、みんなと同じように学校へ行ってほしいと思っているんです」と答えたら、「誰がそうしたがってるの? お母さんじゃないの?」って。そう、「よかれ」は私にとっての「よかれ」。いつのまにか、子どもではなくて自分が主役になっていたんです。

その後、長男が非行に走って家族との関係も悪化するなかで、どうにかして彼の話を聴けるようになりたいと思ってカウンセリングを学び、そこで「傾聴」に出会いました。傾聴というのは、カウンセリングの技法のひとつ。「どんなあなたでもいいんだよ」、「あなたの正解はあなたのなかにあるよ」と相手を主役にして話を聴くことで、信頼関係が構築されていきます。

そして、話す側はすこしずつ自己肯定感を高めて、自分で意志決定をしながら前を向けるようになっていきます。カウンセラーの世界では、近親者へのカウンセリングは感情が入りすぎてしまうのでNGだとされているのですが、傾聴にかぎっては、私自身が大きな効果を感じました。

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