ソニーCEO ハワード・ストリンガー --再建へ邁進する日本は必ず逆境を乗り切れる


 また、映画や音楽会社の買収は私でなく、ソニーの創業者らがやったことだ。目的があってコンテンツを確保したのに、その正しい決断をいまだ信じていない向きがある。創業者が行ったことを信じないのかと、むしろ問いたいくらいだ。

--ソニーの復活とは、何を意味するのでしょうか。ヒット商品、シェア、業績のどれを指しますか。

それ以上のものだ。日本は世界のほかの国と比べ、株主価値のほかにも重視していることがあると思う。もし株主価値だけに集中すれば、もっと厳しくて容赦のない会社になっていた。ソニーは高い品質を創り出し提供することを主要な目的に掲げている会社であり、だから見事な製品を世に送り出している。

加えて、優れた映画、音楽、テレビ番組も創り出しているわけで、これらを組み合わせたものがソニーらしさとなる。一つのヒット商品にとらわれず、ソフトやコンテンツを組み合わせ、全世界の人々によいソリューションを提供してインパクトを与える、それがソニー復活となる。

ヒット商品というが、ソニーは最高品質のビデオカメラで、マーケットシェア50%以上を握る。ほかにも高解像度の4kプロジェクター、イメージセンサー、カメラ、3Dなど、あらゆる分野で最高品質の製品を極めてたくさん出している。

──ソニー復活を求める周りの評価が、厳しすぎるのでしょうか。

期待感が高いということもあるが、ソニーは自らのよさを売り込むことがあまりうまくない。世界トップシェアの商品がたくさんあるというリストをお客様に知らせればわかってくれると思うが、実際に好んで製品を愛用していただけているので、わかってくれているはずだ。

エンターテインメントを世界中の人々に提供し、地球上のほぼすべての国で製品を販売する。毎日、何十億もの人がソニー製品に触れて感動しているわけで、こんな会社はほかにはなく、抜きんでている。それが日本の会社であることを、皆さんも誇りに思ってほしい。

Howard Stringer
1942年英ウェールズ生まれ。オックスフォード大学現代史修士。米CBSでドキュメンタリー番組など制作。97年ソニー米国法人社長、99年グループ取締役。2005年6月会長兼CEO、09年4月から社長も兼務。


(聞き手:大滝俊一・週刊東洋経済編集長、前田佳子 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年4月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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