テレビが「サービスエリア特集」を頻繁に行う訳 出演者の視点で見るSA/PAの「バラエティ性」

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この傾向は、SA/PAに限らず、道の駅、鉄道の駅のエキナカ、デパ地下など、あらゆる施設におよび、毎日のように、タレントがご当地グルメや最新メニューに驚きながら食レポする様子を見させられている。

食べることが嫌いな人はいないだろうし、どんなタレントも、食レポのうまい下手はあっても、「食べて何らかの反応をする」ことはできるもの。演じるほうにとっても見るほうにとっても、最もお手軽なコンテンツが「全国各地の食べ物」であるのだ。

「鬼平犯科帳」の世界を再現した東北道・羽生PA(上り)(筆者撮影)

これが、地域の地形や歴史に切り込むような番組だと途端に出演者の力量が問われるようになる。NHKの『ブラタモリ』は、地理や歴史のみならず地質にも造詣の深いタモリだから成り立つ番組であって、並みのタレントでは務まらないし、もっといえばスタッフの側の力量も問われる。

『ブラタモリ』は、ロケに入る前の事前取材に2~3カ月はかけているだろう。筆者自身もNHKのドキュメンタリー番組を長年、手掛けてきたので、番組を見ればどのくらい準備に時間(とお金)をかけているのかはおおよそ推察できる。その意味でも、グルメをテーマにした番組は、「お手軽」なのである。

“チコちゃん”では壮大な調査を行った

『熱狂マニアさん』の放送1週間前となる6月16日(金)には、NHKの『チコちゃんに叱られる!』という番組でも高速道路のSA/PAが取り上げられた。

この番組のコンセプトは、身近にあるけれど、よくよく聞かれるとうまく答えられない疑問を視聴者やゲストにぶつけて、その答えを専門家に解説してもらうというもの。SA/PAの回では、グルメではなく「なぜ、高速道路のSA/PAの駐車マスは斜めになっているのか?」という疑問を解き明かすことが主題だった。

わが国最初のSA、名神高速道路・大津SA(筆者撮影)

こちらの番組にも筆者は専門家として出演したが、実のところ、この疑問を解き明かすのは容易ではなかった。

というのも、高速道路が日本で最初に開通したのは60年も前で、そのころのことを知っている人はもう高速道路会社には在籍していないし、当時の日本道路公団がNEXCO3社に分割民営化され、当時の資料もおおむね散逸してしまっていたからである。

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