テスラ「スーパーチャージャー」が充電規格統一へ GM、フォードに続きボルボも。日本はどうする
一方、現在テスラを愛用しているユーザーにとっては必ずしも嬉しい話ではないかもしれない。スーパーチャージャーこそを一番の理由にテスラを購入した人は多いはずだが、こうした動きが加速すると充電ステーションが混雑してくるに違いないからだ。とは言え、NACSがスタンダードとなれば、設置数が飛躍的に増えていくだろうと考えれば、将来的には十分飲み込めるというところかもしれない。
まだ4社とは言え、そのうちの2社はアメリカを代表するカーメーカー。NACSが業界標準になっていく可能性は十分ある。さらに6月27日になって自動車や航空宇宙に関連する標準規格の開発などを行う技術者などの団体、SAE(Society of Automotive Engineers)Internationalが、NACSコネクターの標準化を発表。サプライヤー、部品メーカーなどの参入が容易になり、地ならしがさらに進んだ。
さて、それでは今後、北米市場では他のメーカーもこの動きに追従することになるのだろうか。CCSを強力に推進してきたドイツ勢が、そう簡単にテスラの“軍門に下る”ようなことをするとは……とも思われるが、フォルクスワーゲンもNACSを使用できるよう協議に入ったと報じられている。事態は急速に動いているようだ。
トヨタも日産も北米ではCCSを採用
では日本メーカーはどうだろうか。すでに北米ではトヨタも、初代リーフでCHAdeMO(チャデモ:日本勢が主に推進してきた規格)を採用していた日産すらもCCSを採用しているような状況だが、今後それをさらにNACSに改めるということが、すぐに起こり得るのかと言えば微妙だ。しかしながらドイツ勢に較べれば、CHAdeMOじゃない限りどちらでも一緒と、ビジネスライクに判断できそうではある。
案外、その流れを考える上では、ここ日本でどうするのか、がキーとなるかもしれない。
国内ではCHAdeMOの急速充電器設置が進んでいるが、最新の150kWのものであってもNACSに較べて充電速度は遅く、ケーブルを挿すだけで充電とはいかない。しかもそのケーブルは太くて取り回ししにくいなど、ユーザーにとってのBEVに対するハードルの高さに直結してしまっている。
ただし、CHAdeMOの利点であるBEVから電力を取り出すV2X対応は、災害大国日本としては大きなメリットであり、軽視すべきところではないというのも事実だ。それでも今後も、絶対にCHAdeMOでなければならないだろうか?
厳しい言い方をすれば、CHAdeMOは海外メーカーにとってはもはや非関税障壁のような存在になっているということも指摘しなければならない。
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