アメリカのEV(電気自動車)大手、テスラの中国法人は4月25日、それまでテスラ車の利用に限っていた自社の充電ステーションのネットワークを、他社製の37車種のEVに開放すると発表した。
テスラの充電ステーションには、「スーパーチャージャー」と呼ばれる急速充電装置を備えるものと、「デスティネーションチャージング」と呼ばれる通常の充電装置を備えるものの2種類がある。
スーパーチャージャーは、主に(市街地や幹線道路沿いなど)追加充電が必要な場所に設置されている。利用者は充電完了とともに移動しなければならず、充電スペースを占有し続ければ超過料金が発生する。
一方、デスティネーションチャージングは主に(ホテルの駐車場など)旅先の目的地に設置されている。スーパーチャージャーに比べて充電速度は遅いが、充電スペースに長時間駐車することができる。
テスラはスーパーチャージャーを備えた充電ステーションを中国国内に1600カ所、デスティネーションチャージングを700カ所、すでに展開済みだ。それらに配置された充電装置は前者用が1万基、後者用が2000基に上る。充電ステーションの開放は段階的に実施し、まずはスーパーチャージャー10カ所、デスティネーションチャージング120カ所をテスト開放するとしている。
ケーブル短く充電不能のケースも
このニュースが発表されると、テスラの充電装置を早速試してみる他社製EVのオーナーが相次いだ。そのなかには、充電ケーブルの長さが足りずに充電できなかったケースがあったという。
「テスラの充電装置は、テスラ車(の充電ソケットの位置)に最適化した設計になっている。ケーブルが短いのはそのためだ」。あるEV業界の関係者は、原因をそう解説した。
この関係者は、充電ネットワークを開放した裏にはビジネス上の思惑もあると見ている。テスラの充電装置を利用するには、同社製の専用アプリを(スマートフォンに)インストールする必要がある。それを通じて、他社製EVのオーナーとの(マーケティング上の)接点ができるからだ。
とはいえEV業界全体にとって、今回のテスラの決断は歓迎に値する。EVの購入を検討している消費者にとって、最大の不安要素は車両の航続距離と充電の利便性だ。利用可能な充電ステーションが増えるほど、この不安は小さくなり、EVのさらなる普及の後押しになる。
「充電装置の採算性は(装置1台当たりの)利用回数と充電時間で決まる。EVメーカーが自ら充電ネットワークを整備する場合、他社への開放(による稼働率の引き上げ)は投資回収の観点からも優れた戦術と言える」。あるEV業界の専門家は、そう前向きに評価する。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月27日
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