フェラーリとの戦い降りたランボルギーニの矜恃 「価値観のヒエラルキー」を設ける重要さ

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どの企業も、ライバル関係や競争によって焦点が定まらなくなった時を見極めるために、「価値観のヒエラルキー」を持つ必要があります。私がこの本の中で、価値観を持つだけでは必ずしも十分ではないと述べているのはそのためです。あなたや、あなたの会社にとってどの価値観がほか価値観よりも重要なのかを決めなければなりません。それを決めておかないと、模倣に支配されてしまうからです。

AIは新たな欲望を生み出す源泉になりうる

――本書では模倣の欲望から生まれるネガティブな結果を抑えるための「社会的発明」が紹介されていますが、それでも世の中はますます模倣的になっている、と書いています。今後、世界がより模倣的になるのを防ぐものは現われるのでしょうか。たとえば、ChatGPTとか?

本書のとおり、市場経済は消費者、クリエーター、ビジネスリーダー、起業家にとって欲望の出口となる役割は一定程度果たしましたが、新たなテクノロジーが、欲望にさらなる出口を与えるような社会的イノベーションにつながるような段階に入っているような気がします。

Luke Burgis/1981年生まれ、作家・起業家。ニューヨーク大学スターン経営大学院でビジネスを学び、ローマの教皇庁立大学で哲学と神学を学ぶ。23歳で最初の会社を立ち上げ、ビジネスウィーク誌の「25歳未満の起業家トップ25」に選ばれた。以後、ウェルネス・消費財・テクノロジーの分野で複数の会社を企業。現在は米カトリック大学で客員起業家として起業家教育を行っている。ワシントンD.C.在住。(写真:ⒸKirth Bobb)

AIはその1つかもしれませんね。私にとっては、最もエキサイティングな新機軸であると同時に、それが何であり、何ができるのか、まだ解明されていないため、少し怖い存在でもあります。しかし、AIや生成系AIの面白いところは、私たちが思いもよらないようなものを生み出すことができることです。

例えば私は今、新しい本を書いているのですが、私のアイデアをすべてAIに送り込むと、私がこれまで考えもしなかったようなものを書いてくれるかもしれない。ある意味、自分でも知らなかった欲求――あるストーリーを語りたいとか、ある種の本にしたいとか――思いもよらないような欲求を見せてくれるかもしれません。

私の友人で、ChatGPTに「どんな会社を作ればいいのか、何をすればいいのか」と相談した人がいます。起業家としての面白さがなくなってしまうので、自分はやりたいと思いませんが、そういう意味では、ChatGPTは欲望を生み出すものだと思うんです。

単なるデータ生成装置ではなく、新しいものを生み出すとなると、それがどんなものであれ、私たちが何を求めているのか、というレベルまで影響を及ぼすことになります。

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