日経平均株価はどこまで下がったら買うべきか やっと来た本格的押し目、「3つの買いポイント」

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それは、ここまで下値を支えている外国人投資家の動向だ。6月の最新の実績を見ると、財務省ベースでは5351億円(11~17日)、東証ベースでも6414億円の買い越し(12~16日)となっている。ともに12週連続の買い越しだ。

上値が重かった3万3000円台、強気派急増で逆に警戒感

だが、買い越し額は両者とも前週より低下しており、大証の先物においては売り越しとなっている。確かに日経平均は「大きく下がらない相場」と言われている。だが、6月13日に3万3000円台に乗せてからは、13日を含めて立ち合い日数が8日間となった22日も3万3000円台で足踏みしたことで、上値が重くなっている状態を示していた。

また、現段階での今年の高値である16日の3万3706円は前年比29.18%の上昇率となっており、出始めた高値警戒感に押されているとも言えた。しかも、平成バブル崩壊後である1990年の歴史的な戻り高値をきっちり越したことで、投資家の間には「これで2023年内に過去最高値の3万8915円を抜く」という強気意見も急に多くなっていた。これは逆に相場の警戒シグナルとも考えられ、「強気一貫」の筆者としても嫌な感じを受けていた。

悪材料を挙げれば切りがないが、強気相場の裏で中国経済は思ったよりも元気がない状況が続いている。またアメリカでも、最近は7月のFOMC(連邦公開市場委員会)だけでなく、場合によっては9月の利上げの可能性も高まっていた。

実際、「中央銀行ウィーク(12~16日)」における世界の中銀の金融政策会合の結果はどうだったか。今後のアメリカの利上げ継続が明らかになり、ほかの主要国の結果は日本を除いて「利上げ連発」だった。これは世界経済の失速を招きかねず、最近は別格の動きをしていた日本株にも影を落とすと考えられていた。

そんな中で、日経平均がテクニカル面で当面の重要なフシとされていたザラ場安値である3万3089円(6月20日)を切ったとなれば、一斉に利益確定売りが出ても決しておかしくない。23日に一時下げが加速、3万2500円台まで急落したのはそうした下げだった。

また、一部の噂にすぎないが、兜町では「次回の日本銀行の金融政策決定会合(7月20~21日)ではYCC(長短金利操作)の修正がありそうだ。しかも、現状の許容上限は0.5%から一気に1%になりそうだ」といった話を聞く。就任前後からの動向を追っていればわかるように、慎重な植田和男総裁がそんな乱暴なことをするはずもない。実際、10年物の国債利回りが0.36%程度と0.5%を下回っているときに、その必然性もない。

さらに「安定的に物価上昇率2%を目指す」というのが今の政府・日銀の金科玉条だが、その大方針こそ変わらないものの、「2%の目標表現が2%超に変わる」などという夏の怪談ばなしのような噂まで出ている。まさに日経平均の急上昇が止まって、上値が重くなってきたタイミングであり、こうした売り仕掛け材料はこれからも出てきそうだ。

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