マテリアルリサイクルの現場はいったいどのようになっているのだろうか。非鉄金属(銅、アルミ)素材・加工品と樹脂(PP、PE、PS、PVC)の輸出入を手掛ける商社EBC社の工場を見学させてもらった。
同社が展開する樹脂事業では、工場などの排出先からプラスチック端材・残材の単体樹脂を買い取り、自社工場で選別、破砕、粉砕して再ペレット化し、リサイクル材を国内のみならず、インド、中国、東南アジアに提供している。
纏まった量で安定的に排出されないなどのさまざまな事情から、引き取り手がなく焼却処分されていた廃材などを有価で譲り受け、プラスチックのリサイクルの原料としている。
筆者が見学した茨城県の工場内には、排出者から買い取った端材や廃材が所狭しと並べられていた。これらは、李振全社長が自ら排出者にアプローチし、焼却処分予定だった材料を引き取ったものである。
リサイクルできるかを検証する現場に密着
見学当日は、パナソニック住宅設備の浴槽の製造過程から出る規格外品(工場端材)を引き取り、リサイクルできるかを検証する取り組みが行われていたので、その現場にも密着させてもらった。
パナソニックグループでの樹脂資源循環事業を推進しているパナソニックETソリューションズの担当者によると、
「規格外品が大量に継続して排出されるわけではないため、これまでは保管スペースもなく、有償引き取りできるリサイクラーがなく、産業廃棄物として排出して焼却をお願いするしかなかった。しかし、これらは貴重な資源であり、今回、製造工場の近くで操業するEBC社に有価で引き取ってもらえ、それを原料として再生樹脂に戻すことができれば、資源循環のスキームを実現できる」という。
こうした工場端材の資源循環の取り組みが実ビジネスとなれば、いっそうマテリアルリサイクルが推進されていくだろう。
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