「人事部門を置かない中小企業」が手遅れになる訳 会社で起こっている問題、「人事」が原因かも
人数が少ない会社では、社長のカリスマや人柄が直に感じられるので、みんな社長を向いて仕事をしています。社長もすべての社員が見えているので、会社に一体感があります。こういう段階では、不平不満を述べる社員も少なく、人事部門がなくても特に問題はないのです。
ところが、社員が50名を超えた頃から、社長がすべてを見ることは難しくなってきます。社長の下に管理職が置かれるようになり、社長と社員の間に人が入ることによって、社長の強烈なリーダーシップが現場に届きにくくなります。
急成長している企業はどんどん人を採用しますから、さらに会社が大きくなると、前を向かず、横や後ろを向く人材も入ってきます。創業期以降に入ってきた社員は、社長と直に接する機会も少ないため、「給料が少ない」「残業が多い」といった不平不満が増えてきます。
次第に「なんであんなヤツを採っちまったんだ」と社員同士がもめるようになったり、ハラスメントやメンタルヘルスなど、さまざまな労務問題が起こり始めます。
「あれ、おかしいぞ。人事って大事なんじゃないの?」
「ちゃんとやったほうがいいんじゃないの?」
人事部門が必要になってくるのは、まさにこうしたタイミングです。
大事なのはわかるけど、今じゃなくていいよね
多くの企業では「成長期」の後期にあたる社員数100名くらいの段階になると「うちの会社でも人事部って必要なのでは?」という話が出るようになってきます。
とはいえ、すぐに人事部門が立ち上がることは滅多にありません。人事の重要性がいまいち理解できていない。何から手をつけたらいいのかわからない。結果としてそこにリソースを割かず後回しになってしまっている。そうしたケースがほとんどです。
さまざまな問題が起きて、やっと人事の重要性に気づいても、優先されるのは、やっぱりお金を稼いでくる部門であり、経理や総務です。人事の管理業務は、特に楽しくも面白くもないので、そもそも社長はやりたくないし、社労士さんに任せておけばいいやと思われているのです。
「大事なのはわかるけど、今じゃなくてもいいよね」
そうして人事は放置されたまま、時間だけが過ぎていきます。今あなたの会社も、そういう状態なのではないでしょうか。
人事とは、漢方薬みたいなものです。効果があることはわかっていても、誰もが漢方薬を飲むわけではありません。「ちょっと調子が悪いな」くらいでは病院も行きませんし、「とりあえずお店で買った薬を飲んでおけばいいよね」でおしまいです。
しかし「人」に関する問題は、目には見えにくいのですが、どんどん会社を蝕んでいきます。やがて慢性的な成人病のような状態になって、抜本的な治療が必要になってきます。
社員が定着しない、優秀な人材が辞めていく、採用がうまくいかない、評価制度が曖昧……。これらは、まさにそういう状態です。放置していると、手遅れになってしまうかもしれません。
国も人事の重要性に気づき、「戦略人事」や「人的資本経営」といった言葉が盛んに使われるようになってきました。今こそ「人事」と向き合い、改めて見直してみませんか?
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