潜水艇行方不明、乗船するCEOが語っていたこと 多数の業界関係者が安全性を疑問視していた

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潜水艇、オーシャンゲート
大西洋で行方がわからなくなっているオーシャンゲート社の潜水艇「タイタン」(提供:OceanGate Expeditions/Best Image/アフロ)

オーシャンゲート社の潜水艇が5人を乗せたまま大西洋で行方不明になる数年前から、同社の、富裕層の乗客をタイタニック号の残骸に案内するという特徴的なミッションは多方面から警告を受けていた。

2018年1月、オーシャンゲートのエンジニアリングチームは、「タイタン」と名付けられたこの船を、将来の乗客の安全確保に責任を持つ新しいクルーに引き渡そうとしていた。しかし、社内外の専門家は警鐘を鳴らし始めていた。

「乗客に危険が及ぶ可能性がある」と警告

裁判資料によると、オーシャンゲートの海洋事業部長であるデビッド・ロックリッジは、その頃から報告書の作成に取りかかり、最終的には、この船にはさらなるテストが必要だとし、「潜水艇が極限まで深くなるとタイタンの乗客に危険が及ぶ可能性がある」と強調した厳しい文書を作成したという。

その2カ月後、オーシャンゲートは業界のリーダー、深海探検家、海洋学者など30人以上の人々から同じような警告を受け、同社の「実験的」アプローチと従来の評価を見送った決定が、タイタニック号のミッションに「破滅的」問題をもたらす可能性があるとCEOのストックトン・ラッシュ宛ての手紙で警告していた。

現在、タイタンの国際的な捜索活動が続き、乗客の酸素供給量も少なくなる中、富裕層向けのエクストリーム・ツーリズムを提供しようと躍起になっていたオーシャンゲートへの警告がさらに明るみに出てきている。

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