潜水艇行方不明、乗船するCEOが語っていたこと 多数の業界関係者が安全性を疑問視していた
オーシャンゲートの広報担当者は、ロックリッジや業界のリーダーたちからの5年前の批評についてコメントを避けた。また、ロックリッジにもコメントを求めたところ、返答はなかった。
同社のCEOであるラッシュは、この潜水艇の乗客の1人で、現地時間18日に行方不明になったときにはパイロットを務めていたと、オーシャンゲートは20日に発表した。
航空宇宙エンジニアでパイロットでもあるラッシュは、2009年にワシントン州エベレットに本社を置く同社を設立した。過去3年間、同氏は1912年にロンドンからニューヨークへの初航海で沈没したタイタニック号の残骸を見学するチャンスに、1人当たり最高25万ドル(約3500万円)を請求してきた。
専門機関による検査と認証を「拒否」
ロックリッジによる評価、さらに専門家らがラッシュへ2018年送った書簡はそれぞれ、こうしたことを専門としている主要機関によるタイタンの検査と認証をラッシュが拒否したことを挙げている。
裁判記録によると、ロックリッジは検査などをオーシャンゲートに促したものの、同社はそうした評価のために「お金を払う気がない」と告げられた。同社とロックリッジが提出した法廷文書によると、ロックリッジの報告を受けた同社の首脳陣は緊迫した会議を開き、この事態について話し合ったという。その中で、ロックリッジは乗客が船の外を見るためのビューポートが、水深1300メートルまでしか使えないと認定されていることを知ったと報告している。
これは、海底4000mに沈むタイタニック号への航海に必要な水深よりはるかに浅い水深である。
ロックリッジの弁護団は、裁判所に提出した書類の中で「お金を払う乗客は、この実験的な設計について知らないし、知らされることもないだろう」と書いている。
双方が提出した法廷文書によると、この会議がきっかけでオーシャンゲートはロックリッジを解雇した。同社は裁判記録の中で、ロックリッジはエンジニアではなかったこと、同社のエンジニアリングチームからの情報を拒否したこと、船体の強度については音響モニタリングの方が、ロックリッジが必要だと感じていたような試験よりも優れていたと述べている。
また、オーシャンゲートはロックリッジが社外に機密情報を共有しているとして同氏を訴え、ロックリッジが解雇されようとしているとした。ロックリッジはこれに対し、不当解雇を主張したが、この法廷闘争は2018年に和解で終了した。