名物駅弁「ひっぱりだこ飯」、台湾で販売の舞台裏 現地で食材調達し調理、人気はどうだった?
2023年6月9日から12日にかけ、台湾鉄道を運営する台湾鉄路管理局は台北駅で毎年恒例となった駅弁フェスティバル、第8回「鐵路便當節」を開催した。例年は11月に行われるこのイベントは、今回初めて台湾の“鉄道の日”にあたる「鉄路節」(6月9日)に合わせて実施。国内旅行の需要や海外からの旅行者も戻り始めたことも相まって42万人を超える集客を達成し、売り上げも昨年に比べ30%ほど多い900万台湾元(約4050万円)を突破するなど例年以上の盛り上がりを見せた。
日本からはJR東日本や京急電鉄、東武鉄道など12事業者が参加した中、駅弁業者として唯一単独で出展した会社がある。明石を中心に神戸全域で駅弁を販売し、「ひっぱりだこ飯」で有名な淡路屋だ。
名物駅弁で一本勝負
「鐵路便當節」は例年、鉄道会社が弁当の販売のほかにも、自社の沿線や観光列車のアピールを目的として出展するケースが多い。今回もJR東日本のALFA-Xや東武鉄道のSL大樹など、話題の車両を模した再利用可能なケースに沿線名物を盛りつけた弁当や、沿線のブランド牛を使った焼肉弁当など、イベント向けに特別販売されたものが多くみられた。日本で実際に売られている駅弁を味わうというよりも、日本文化としての彩り豊かな弁当を楽しんでもらうといった要素が強いイベントだ。
その中で、今回、日本で売られている駅弁を取り扱った業者は関東から崎陽軒と関西から淡路屋の2件。崎陽軒は2020年より台北に店舗を設けて販売をしており、今回は京急電鉄とコラボで出展。販売品目は台湾向けにカスタマイズされたシュウマイ弁当など3点だった。
一方、淡路屋が用意した駅弁は「ひっぱりだこ飯」の1点のみ。出展へのきっかけを同社副社長の柳本雄基氏に聞くと「神戸や明石を代表する駅弁を多くの人に食べてもらいたいの一心につきる。メニューを1点のみとしたのも、コストの問題もあるが、一番は老舗の作る名物駅弁の味を知っていただきたいから」と自信のある答えが返ってきた。
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