名物駅弁「ひっぱりだこ飯」、台湾で販売の舞台裏 現地で食材調達し調理、人気はどうだった?
難しいのは代用の食材を探すことだけではない。例えば、煮つけに使われるシイタケ煮。中国医学や中華料理など多くのシーンで重宝される台湾のシイタケは日本のものに比べ香りが強く、試作の段階ではそれがタコの味わいに影響してしまったという。シイタケの質をあえて何段階か落とすことで対応したが、最後までシイタケの香りが、たこ飯の香りより多少強くなる形となってしまった。
メイン材料であるタコも仕入れ値の国際的な向上に加えて、現地ではたこ焼きとして親しまれている以外は目にする機会が少なく仕入れが高くつく食材だ。コストを抑えるため、本来ならばタコを使用する練り物も、イカのすり身を使うなどしたことで1個399元に抑えた。
容器のユニークさに注目集まる
現地での調理に四苦八苦する中、日本から持ち込んだアイテムもある。ひっぱりだこ飯の外観的な一番の特徴といえる、たこつぼを模した独特な容器だ。今回、淡路屋は日本で売られているものと同じ容器に加え、色をオレンジとしてオリジナルの掛け紙を被せた台湾限定バージョンを用意した。中身は同じだが、その物珍しさに2種類買っていく人や限定品を目当てに購入しに来たという日本人観光客の姿もあった。
また、別途展示していたたこつぼ風の湯飲みやJR貨物のコンテナを模した弁当箱などにも注目が集まり、「これは売っていないのか?」、「日本のどこで買えるのか?」といった質問が多く聞こえた。台湾で駅弁というと円形や長方形の紙製の容器に具材を盛り付けることが多い中で、こういったユニークな外観が新鮮に見えたようである。
実は淡路屋が海外で販売するケースは今回が初めてではない。2018年には日本の文化発信イベントの一環でフランス・パリのリヨン駅、2019年には今回と同じ「鐵路便當節」や台北市内の百貨店での出展もした実績がある。フランスでの販売は食文化の違いから難があったものの、過去の台湾での開催は好評で150食を最初の1時間足らずで売り上げた。今回、提供数を倍増し、1日2回に分けて搬入したのは生産体制の都合のほかにも、なるべく多くの人に駅弁が行きわたるようにとの改善があったといえる。
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